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糖尿病3分間ラーニング
ベトナムの糖尿病事情

4. ベトナムの1型糖尿病患者さん

レポーター:Dang Thi Kim Anh さん
GHPトレーディング社(ベトナム)の代表
2007年10月

 1型糖尿病患者さんが病気のことや生活の難しさについてどれくらい理解しておられるか、私たちはベトナム北部の国立基幹病院であるBach Mai病院(ハノイ)を訪ね、内分泌糖尿病科で治療を受けておられる1型糖尿病患者(Aさん)にインタビューをしました。

 Aさんは44歳の女性で、体重37kg、身長149cmの方です。
 彼女は過去25年間この病気とともに生活されています。
 彼女は、Bach Mai病院の内分泌・糖尿病科で長年にわたって幾度となく治療を受けています。定期的に診察を受けながら、在宅インスリン注射を続けています。また、低血糖の昏睡で3回病院に運ばれたことがあり、最近では、2007年6月4日に低血糖で病院に運ばれました。
 彼女は、病院で1ヵ月間の治療を受けておられ、快く私たちのインタビューに応じてくださり、ご自分の健康状態について誠実に答えてくださいました。

質問1 糖尿病とわかったのはいつごろですか?
どんな症状で健康の悪化を感じ、診察を受けられましたか?

Aさん 私は1982年に糖尿病を発病しました。とても気分が悪く、水をたくさん飲み、尿がたくさんでました。そして、ひどく体重が減りました。あるとき尿をしたあとにアリが群がっているをみて、国立内分泌内科病院で診察と検査を受けようと決意しました。

 そして、まもなく1型糖尿病であると診断されました。

質問2 その時に糖尿病について何かを知っていましたか?
また、ご家族の誰かで糖尿病を知っておられる方はおられましたか?

Aさん その当時、私は糖尿病について何も知りませんでした。そして、ドクターから結果を聞かされたときに、この病気について初めて知りました。

 私の家族の誰にもこの病気はありません。家族の誰もが糖尿病について何も知りませんでした。

質問3 糖尿病についてどう思いますか?

Aさん この話を聞いたとき、あまりよくわかりませんでしたが、これは治らない病気で私は死ぬだろうと思いました。

質問4 糖尿病合併症に関して何かを知っていますか、そして、あなたにはなにか合併症がありますか?

Aさん 知っています。私はとても長いあいだ病気と戦っています。ドクターは治療のときに糖尿病合併症について話してくれます。私は全てを覚えてはいませんが、合併症には、大血管合併症、末梢神経障害、目の合併症、腎不全、足の病変といった、いくつかのタイプがあることを教わりました。

 私は、足はともかく、この2年間で目が悪くなり、読むこともテレビを見ることもできません。ドクターから、糖尿病を自己管理する解説書を読んで、合併症を予防するようにと助言されました。でも、私は読むことができませんから、買いませんでした。

 私は眼鏡を買いましたが、何度も何度も忘れたり壊したりしましたので、もう眼鏡はかけたくありません。

質問5 この25年、診察や糖尿病治療をどこでなさいましたか? 受けられた治療をどのように思われますか?

Aさん 最初、国立内分泌内科病院(ハノイ)に行きました。そして、Bach Mai病院(ベトナム北部の国立基幹病院、ハノイ)へ移されました。それ以来ずっとこの病院のドクターに診てもらい治療を受けています。ここで何回診てもらったか、あまり多過ぎて思いだせません。この病院のドクターはみな、とても熱心に私を支援し、指導してくれます。

 私は、できればそんな目に会いたくない重症の昏睡に何度も経験しました。ドクターが熱心に治療して下さったおかげで救われ、回復して元の状態に戻ることができました。今回は、その後1か月間、この病院で治療を受けています。今、私はとても良い状態だと感じます。そして、まもなく、退院できると思います。

 初めの頃、家族と私は、ときどきインスリンを使うのが体に悪いのではないかと思いました。その後、それは十分な食事をとらないでインスリン治療をしたためであることがわかりました。

質問6 あなたはいま、特別な治療をしていますか、どのように指導を受けていますか? 指導に正しく従っていますか、そして継続できていますか?

Aさん この25年の間、毎日インスリンを自己注射しています。忘れたことはありません。兄は時々それを手伝ってくれます。ドクターは、どんなときでも辛い思いをしないように、自己注射の仕方を教えてくれました。そして、私は自分でできるようになりました。

質問7 糖尿病とわかったとき、食事はどうしましたか? どのように言われましたましたか?

Aさん 病気になった頃、ドクターにパスタ(vermicelli)やポテトを食べるように言われましたが、いまはそれらをあまり食べないように言われています。 今ここでは、病院の療養食を食べています。

 自宅では1杯のごはんと野菜や赤味の肉などを食べています。

質問8 卵、魚は食べませんか、また果物は食べませんか?

Aさん 私は子供の頃から魚が好きではありませんでした。鶏卵はたくさん食べます。果物はたまにしか食べません。家では果物を売っていますが、私はスイカ、ライチ、リューガンを少し食べるだけです。

質問9 運動はどうしていますか?

Aさん 病気とわかった時はまだ体が丈夫でしたが、農作業で忙しかったので運動はできませんでした。

 今では体力をなくしてしまい多くのことができなくなりました。とても疲れやすく目も不自由になっていて、ときどき何もしたくないと思います。

質問10 ドクターは、糖尿病の食事と運動の効果について、教えてくれたことがありますか?

Aさん 教わりましたが、よくわかりません。

質問11 糖尿病とわかったとき、どう思いましたか?
この病気はあなたの生活にどのように影響しましたか?
ご主人や子供たち、家族から支援を得られますか?

Aさん 糖尿病だとわかってから、ずっととても心配でした。悲嘆に暮れたときもあります。私は44歳で姪が一緒にいますが独身生活です。時々とてもさびしく感じます。

 私にプロポーズした男性も何人かいましたが、病気が心配だったのですべて断ってしまいました。自分で身の回りの始末ができなくなるのが心配です。他人に負担をかけるのも嫌です。

 歳をとるにつれてさびしさが増します。私はこの病気のために長生きはできないと思っています。

質問12 あなたが糖尿病だとわかってから、ご家族はあなたをどのようにしてくれますか?

Aさん 兄弟姉妹、姪や甥が、喜んで私の世話をしてくれます。彼らの助けなしでは、私は生き続けることができなかったでしょう。

 彼らが私の緊急事態を見つけ病院に入院させてくれました。そして、姪と甥は交代で病院にとどまり、毎日の生活を助けてくれます。1ヵ月間入院していますが、彼らは心を込めて世話してくれます。友達も元気付けてくれました。私は、よく食べて、治療に励んで、とても良くなっていると感じています。

質問13 長期の医療費を払うことができますか?
経済的にあなたを支援する人はいますか?

Aさん 私のささやかな仕事の収入は、毎日の生活と治療費の一部を払うだけで精一杯です。特に入院しているときは、家族から多くの経済的支援を受けています。

 1年前に医療保険(health insurance)に加入したので、診察、治療、お薬の費用をあまり払わなくて済みます。交通費、食事代、ベッド代、雑費などは支払います。

 医療保険は私のような場合にはとても助かります。

質問14 その他に何か社会的支援を受けておられますか?

Aさん 私の医療保険は今年の7月末日までで終わります。別の保険に加入することはできませんで、貧しい層を対象とした人民公社委員会(commune people committee)から与えられる社会保険(social insurance)へ変更します。そのような保険に加入したことがありませんので、治療費を十分に払えるかはわかりません。それが医療保険(health insurance)のようなものであることを願っています。

質問15 あなたの地域の糖尿病協会/クラブについて何かご存じですか?
これまで糖尿病プログラムに参加したことがありますか?
そうしたプログラムについてどう思いますか?

Aさん そのような協会やクラブについて聞いたことがありません。昨年、甥が糖尿病患者のための食事プログラムに連れていってくれましたが、あまり信じられなかったので、よく思いだせません。

質問16 なぜそれを信じなかったのですか?

Aさん 私は、糖尿病についてあまり知りませんし、どのような食事が良いのか知りません。だからあまり信じることができません。お薬でこの病気を治すことはできないのに、食事では治せるでしょうか。

質問17 糖尿病について何か勉強をしていますか?
糖尿病をもっと良く知りたいですか?
あなたの生活で期待したいことは何ですか?

Aさん 病院に来た時、ドクターは私にあまり心配し過ぎないようにといわれました。私は糖尿病についてもっと知りたいと思います。読むことができませんが、よりよく自己管理できる知識を得るための、なにか別の方法があることを望んでいます。

 本当にありがとうございます。早く体調が良くなって、最愛なご家族の元に戻れるといいですね。

「ベトナムの糖尿病事情」もくじ


ベトナムの糖尿病事情を10回シリーズでお届けいたします。


コーディネーター: Dang Thi Kim Anhさん(写真中央)。
GHPトレーディング社(ベトナム)の代表。スタッフに囲まれて。

  1. ベトナムの糖尿病をめぐる現状
  2. 飲食習慣が劇的に変化した20年 糖尿病も増加
  3. 糖尿病専門医に聞いたベトナムの
    糖尿病をめぐる現状と対策
  4. ベトナムの1型糖尿病患者さん
  5. ベトナムで増加する肥満・糖尿病
  6. ダナン病院の2型糖尿病の患者さん
  7. ベトナムのヘルスケアシステムと糖尿病
  8. 糖尿病患者さんをサポートする体制
  9. インスリンを使用する2型糖尿病の患者さん
  10. ベトナムの糖尿病、この1年を振り返る

国際糖尿病支援基金「わが友、糖尿病」

世界各国の糖尿病療養に携わる医療スタッフや患者さんとの交流録。
世界のさまざまな場所を旅した国際糖尿病支援基金・森田繰織会長のブログです。

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2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した
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