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2003年09月01日

世界の糖尿病人口は1億9,400万人

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糖尿病有病率は5.1%

 国際糖尿病連合(IDF:International Diabetes Federation)は、212の国や地域の糖尿病の実態をまとめた「Diabetes Atlas」第2版を発表した。前回(2000年)はIDF加盟130カ国を対象としていたが、2003年に発行した第2版ではほぼ世界全域に拡大した。
糖尿病は21世紀最大の医療問題に
 糖尿病人口は2025年に3億3,300万人に増えると予測しており、有病率が現状で高いのは北米地区(7.9%)、ヨーロッパ地区(7.8%)、低いのはアフリカ地区(2.4%)、西太平洋地区(3.1%)と報告している。

世界の糖尿病とIGT(耐糖能異常)

 2003年    2025年予測

世界人口63億人80億人

成人人口(20-79歳)38億人53億人

糖尿病有病数(20-79歳)1.94億人3.33億人

糖尿病有病率5.1%6.3%

IGTのある人の数(20-79歳)    3.14億人4.72億人

IGTの比率8.2%9.0%


 南東アジア地区、西太平洋地区は全人口の拡大もあり特に増加するとみられる。ヨーロッパ地区は7.8%から9.1%、北米地区は7.9%から9.7%といずれも増加する。

 日本を含む西太平洋地区は、成人人口が13億8,400万人と世界で最も人口が多く、有病数は太平洋諸島の一部地域や、工業化が急速に進んでいる国や地域で増加率が高いとみられる。

 西太平洋地区全体の糖尿病有病数は2003年の4,300万人から、2025年には7,580万人に増えると予測されており、都市部に限ると1,729万人(22.8%)から4,200万人(55.4%)と約2.4倍に増大する。

 有病率の増加が目立つ国や地域は、香港(8.8% → 12.8%)、マカオ(8.2% → 12.9%)、日本(6.9% → 7.9%)、韓国(6.4% → 8.3%)、マレーシア(9.4% → 12.4%)、シンガポール(12.3% → 19.5%)など。

 WHO(世界保健機関)の調査を元にしたレポートによると、2型糖尿病が増加している地域に共通する原因として、(1)社会の急速な変化や高齢化、(2)都市化にともなう食生活の変化と運動量の減少、(3)ライフスタイルが変化し不健康に偏っていることが指摘されている。

 アジア地域では特定の人種に有病率が高い傾向があり、糖尿病になりやすい遺伝因子の影響に、上記の環境の変化が加わったためと考えられる。

IGT(耐糖能異常)の増加
 IGTのある人は糖尿病、高血圧症、高脂血症、心血管疾患(CVD)などの発症リスクが高くなるので、IGTの対策の必要も指摘されている。

 IGTのある人の数は2025年には成人人口の9.0%に相当する4億7,200万人に増える予測している。ヨーロッパ地区は10.2%から10.9%、南東アジア地区は13.2%から13.5%といずれも高い比率で推移するとみられる。

 このページの記事はすべて、下記に掲載されたデータを元にしている。
Diabetes Atlas, Second Edition
International Diabetes Federation発行, 2003年
IDFのホームページ
http://www.idf.org/

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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