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2005年09月12日

新しい治療薬「バイエッタ」 トカゲ唾液の化学物質をベースに開発

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インクレチン関連薬
 米国イーライリリー・アンド・カンパニーとアミリン・ファーマシューティカルズ社は、アメリカドクトカゲ(ヒラモンスター、Gilamonster)の唾液から得られる化学物質をベースにした新しい糖尿病治療薬「バイエッタ」(Byetta)を2年間使用した治療で、2型糖尿病患者の血糖コントロールの改善と体重減少が確認されたと発表した。

 バイエッタ(一般名:エクセナチド)は1日2回投与される注射薬で、単独で使われず、標準的な糖尿病治療薬であるメトホルミン(BG剤)もしくはスルフォニル尿素剤(SU剤)の服用、または両剤の服用による治療をしても良好な血糖コントロールを得られない2型糖尿病者に、追加治療として用いられる。「インクレチン・ミメティクス」と呼ばれる化合物では世界で初めての医薬品で、今年4月にFDA(米食品医薬品局)により承認された。

 毒トカゲの唾液から抽出されるこの物質は、糖尿病薬としては全く新しいタイプの薬で、実際には、この物質(蛋白質)を合成したものを使っている。食後に胃腸から分泌される「GLP-1」というホルモンはインスリンの分泌を促し、血糖値を上げる働きをするホルモンであるグルカゴンの分泌を抑える。バイエッタはこのホルモンと同様な働きをする。

 今回の治療では、82週間エクセナチドを投与された265名の患者群で、血糖コントロールと体重の改善に加え、HDLコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)、血圧といった心血管の危険因子において、臨床的に有意な改善がみられた。

 バイエッタは日本では第2相臨床試験の準備が進められている。

イーライリリー・アンド・カンパ二ー(英文)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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