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2006年10月17日

男性の3割が肥満、糖尿病も増加 「健康日本21」目標遠く

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 厚生労働省は厚生科学審議会の部会で、国民の健康づくりの指標である「健康日本21」の中間実績値を公表した。
 約30項目で策定時の数値よりも悪化しており、目標達成に向け課題が多いことが明らかになった。

 2000年に策定された健康日本21は、適正体重や食生活、運動習慣など9分野70項目について数値目標を定め、2010年度を目途に達成を目指している。中間年にあたる2005年から中間実績値をまとめ発表された。それぞれの数値は国民健康・栄養調査の結果などから算出された。

 全体的に、脳卒中、心疾患の死亡率が改善している傾向があり、脂肪エネルギー比率や女性の肥満の増加にも歯止めがかかったとみられる。しかし、高血圧、糖尿病などは、特に中高年男性で改善していない。さらに、男性の肥満者の割合や、日常の歩行数など、2000年の策定時より悪化した項目も少なくない。

糖尿病の患者数は増加 検診・事後指導で対策
糖尿病有病者数(推計)
策定時690万人
実績値740万人
目標値1,000万人 *
* 生活習慣の改善のない場合は1,080万人と推計

糖尿病の治療の継続
策定時45.0%
実績値50.6%
目標値100%

糖尿病合併症

●糖尿病性腎症による透析導入例

策定時1万729人
実績値1万3,920人
目標値1万1,700人 **
  • 糖尿病有病者(糖尿病が強く疑われる人)の数は、女性ではそれほど増加していないが、男性では増加した。

  • 予備群(糖尿病の可能性を否定できない人)の割合は、男女ともに増加した。

  • 糖尿病の発症予防(一次予防)については、肥満のある人の場合は40歳から60歳代の女性でほぼ横ばいで、中高年男性では増加傾向にある。日常生活での歩数が、特に男性の30歳代、50歳代および女性で減少しており、運動の効果が十分に上がっていないと考えられている


 糖尿病の早期発見と対策(二次予防)と、合併症の進行を抑えるために、糖尿病検査で異常の出た人を対象に保健指導を行うことが重要と考えられている。事後指導の受診率は、男性で増加し、治療の継続率はやや改善しているが、目標には届いていない。

糖尿病検診の受診
 策定時実績値目標値
定期健康診断4,573万人5,850万人6,860万人
糖尿病検診受診後の事後指導
男性66.7%74.2%100%
女性74.6%75.0%100%
栄養と生活習慣では多くの項目で目標に達していない
 それ以外の糖尿病の関連する項目をまとめると以下の通りになる

肥満

 策定時実績値目標値
成人男性24.3%29.0%15%以下
成人女性25.2%24.6%20%以下
子供10.7%10.2%7%以下
 成人男性の肥満指数(BMI)が25以上の肥満者の割合は、2000年より4.7ポイント悪化し29.0%になり、目標値(15%以下)のほぼ2倍に達した。一方、成人女性の肥満者の割合は24.6%で、0.6%減り目標値(20%以下)に近づいている。

栄養と食生活(成人)
 策定時実績値目標値
脂肪エネルギー比率27.1%26.7%25%以下
1日の野菜の摂取量292g267g350g以上
1日の食塩の摂取量13.5g11.2g10g未満
 栄養と食生活については、増量を目指した「野菜を食べる量(1日当り)」は25グラム減って267グラムと悪化した。脂肪エネルギー比率や食塩摂取量は改善したが、目標値には達していない。

運動習慣(成人)
 策定時実績値目標値
意識的に運動をしている人
男性51.8%54.2%63%以上
女性53.1%55.5%63%以上
日常における歩数
男性8,202歩7,532歩9,200歩以上
女性7,282歩6,446歩8,300歩以上
運動習慣者の割合
男性28.6%30.9%39%以上
女性24.6%25.8%35%以上
 運動習慣に関しても、日常における歩数は男性7,532歩(目標値 9,200歩以上)、女性6,446歩(8,300歩以上)と、男女ともに策定時より1割前後減った。

 運動習慣のある人の割合は、男性30.9%(目標値 39%以上)、女性25.8%(目標値 35%以上)と少し改善したが、目標値に届いていない。


詳しくは厚生労働省のサイトへ
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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