ニュース

2006年12月20日

ライフスタイルの改善にアタック 〈富山県〉

キーワード
 富山県の糖尿病患者数は約6万人、糖尿病の治療を受けている人の数は約1万5,000人と推計される。
 糖尿病と診断される人が年々増えているが、人口10万人当りの医療機関で治療を受けた人の割合を表す受療率は糖尿病外来が106で、全国の125を下回っている。

富山糖尿病アタックプラン
糖尿病を克服するための生活指針

富山県資料より

「糖尿病の治療で大切なことは、正しい知識
をもって、治療を続けること」であるとして、さまざまな
取組みが行われている。

* BMI(肥満指数)が22になるのが、最も病気
になる確率が低い標準体重で、25以上は肥満、
18.5未満はやせと判定される。
 同県は2000年に「新県民ヘルスプラン」を策定し、その一環として「糖尿病アタックプラン」を推し進めている。県民総ぐるみで生活習慣の改善をはかり、健診の受診率や保健指導を増やそうという計画だ。

 糖尿病患者にとっては、糖尿病合併症を予防するために治療を続けてもらうことが欠かせない。治療を中断してしまう人を減らすための支援策も求められている

 そこで、県民に糖尿病についての正しい知識をもってもらい、「自分たちの健康は自分たちで守り、つくる」という自覚をもってもらうため、地域ぐるみの運動として展開している。

自己管理が基本

 同県国保連合会は7月に富山県国際健康プラザで、肥満や高血糖に悩む県民を募集し、3カ月間食事や運動など生活習慣の改善などに取り組んでもらう「若返りプロジェクト」を実施した。平均年齢50歳の男女40人が参加し、血液検査やメディカルチェック、体力測定を受けてもらった上で個別に計画を作り、運動、食事など各面から指導を受けてもらったという。

 歩数やおおよその消費エネルギーを計算し記録する計測器を身につけて3カ月取り組んでもらった結果、内臓脂肪が疑われる人が半分以下に減った。健康や自分のからだについて正しい知識をもち、自覚と意欲をもって生活習慣改善の取り組むことが大切なことが、あらためて示される結果になった。

 必要な協力や支援を行う県や医療・保健関係者の役割も大きい。同県は今後も、糖尿病予防教室、糖尿病ケア教室を県内各地で催すことを計画しているという。

富山県でも糖尿病や肥満が増加
 富山県でも糖尿病は大きな課題になっている。糖尿病による死亡者は1993年に減少したもの、その翌年から再び増えはじめ、死亡率は全国平均を上回って推移している。

脂肪の摂り過ぎ

 「2004年県民健康栄養調査」によると、富山県民の1日のエネルギー摂取量は平均1,920kcalで、1975年の2,349kcalに比べ減ったが、脂肪の摂取は増えている。脂肪からのエネルギー摂取の割合は1970年代は19%だったが、2004年には24%に増えた。全国平均の26.7%に比べれば低い数値だが、20〜30歳代では適正比率の上限である25%を超えているので、油断はできない。

30〜50歳代男性の3人に1人が上半身肥満

 成人の体型は、男性では、20歳代と40歳代を除く年代で3割近くに肥満がみられる。女性では60歳代の肥満の割合が高く36.2%だった。BMI(肥満指数)と腹囲径を調べたところ、男性の33.3%、女性の14.8%が上半身肥満が疑われるという結果になった。

1日の歩数が足りない

 富山県民の1日の歩数が全国平均を下回っており、運動不足の影響が大きいことが窺える。1日の平均歩行数は男性が6,650歩、女性が5,920歩。2000年調査の男性8,180歩、女性7,380歩から大幅に減った。全国平均の7,530歩と6,440歩に比べても歩数が少ない。

メタボリックシンドロームも深刻

 富山県の40歳から74歳の人の中で、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の有病者は9万5,000人、予備群は9万6,000人とみられている。これは、男性の2人に1人、女性の5人に1人に相当し、全国平均とあまり変わらない。

 同県は2006年度からメタボリックシンドローム対策に本格的に乗り出している。まずは有病者と予備群のより正確な数を知るための調査を11月に実施し、「新県民ヘルスプラン」の見直しに反映させる計画だ。


●詳しく富山県のサイトへ
 新県民ヘルスプラン-元気とやまの健康づくり-
 糖尿病アタックプラン
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲