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2007年05月29日

糖尿病の人こそ朝食は欠かせない

キーワード
食事療法
 朝食を食べなかったり、菓子や乳製品、栄養ドリンクなどだけで済ませてしまう人の割合が増えていることが、政府の調査で分かった。

 平成17年国民健康・栄養調査によると、「朝食を食べないことがある」と回答した人の割合は、男女ともに20歳代でもっとも高いが、男性では30歳、40歳代でも2割以上に上る。

朝食を食べないことがある人の割合 (20歳以上)
平成17年国民健康・栄養調査より(一部変更)
 朝食を食べない(1日2食しかとらない)と、1食あたりの食事量(エネルギー)が増える。1日に摂取するエネルギーの合計が3食に分けて食べた場合と同じでも、糖尿病の患者にとっては影響は大きい。

 食事をとることで食後血糖値は高くなる。食事の量が多いほど血糖値は高くなり、高血糖の状態が続く時間も長くなりやすい。

 3回に分けて食べれば高血糖の程度や、高血糖の持続時間がそれほどではなくても、同じ量を昼と夜の2回で食べると、食後の血糖値はより高くなり、高血糖の時間が長く続いてしまう。

 特にインスリンや経口剤で糖尿病の治療をしている人では、治療の効果を上げるためにも、1日に食べる食事を朝食、昼食、夕食の3回に均等に配分することが望ましい。そうすることで、血糖値の変動が少なくなり、低血糖の防止にもつながる。

朝食は頭と体を起こすために必要
 糖分は、消化されて最後にブドウ糖となり、腸から吸収される。吸収されたブドウ糖は血液中に供給され、一部はすぐに脳の細胞などにのエネルギーとして利用される。ブドウ糖が脳の唯一のエネルギー源。しかし、脳はブドウ糖を貯めておくことができないので、常に血液中からブドウ糖を補給している。

 からだに取り込まれずに余ったブドウ糖は、肝臓にグリコーゲン作り替えられて蓄えられ、必要に応じてまたブドウ糖に変えられる。しかし、この蓄積はおよそ12時間が限界。1日のうちで朝起きたとき、脳はエネルギー不足に陥っていることが多い。このため、朝起きてなにも食べないで活動を始めると、脳のはたらきは悪くなる。

 朝食を工夫するとこんなメリットがある

  • 朝食を食べることで、午前中の労働効率が高まる。
  • 2型糖尿病患者の脂質や炭水化物の代謝は個々で異なるが、朝食で食物繊維をとることで、血糖値の変動に好影響を与える。朝食に食物繊維をとると炭水化物の吸収を遅らせ、午前中の高血糖を抑えやすい。
  • 朝食の習慣がない人は、まずヨーグルト1つ、牛乳1杯といった簡単な朝食からスタートしてみよう。朝食の習慣ができてきたところでメニューを増やし栄養バランスを整える。
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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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