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2008年07月08日

ホテルの料理も野菜でヘルシーに 大阪府の食育事業

キーワード
食事療法
 大阪府立健康科学センター(大阪市東成区)は、府が進めている「野菜バリバリ朝食モリモリ」食育推進事業の一環として、ホテルと協働し府民の健康志向に着目した取組みを始める。

 この試みは、中央区の「ホテルニューオータニ大阪」と事業提携し、ホテルレストラン6店舗で「食べておいしい、カラダにもおいしい」をコンセプトにしたメニュー「カラダSMILE」を季節ごとに監修し提供するというもの。

「カラダSMILE」
ヘルシーフレンチ ランチコース

ヘルシー会席「和・菜・美」

 ホテルの食事は高級食材を使った贅沢な料理のイメージをもたれることが多いが、2型糖尿病など生活習慣病が増えるにつれ健康的な食事に関心をもつ利用者が増えているという。

 そこで「ホテルでの食事でも健康に配慮したおいしくてヘルシーな料理を提供したい」として、健康科学センターが(1)栄養のバランス、(2)野菜の使用量、(3)通常のメニューに比べカロリー控えめ、(4)通常のメニューに比べ塩分控えめ、という4点を配慮しメニューを監修した。

 「ヘルシーフレンチ ランチコース」は旬の野菜の素材をひきだし、ひんやり冷たいトマトのクリームスープ、アスパラガスとフヌイユのコンビネーション朝取り卵とからすみ添え、カカオ豆をまとったイサキ葡萄チャツネのブルグール添え、南国フルーツのモンバジアックのジュレ添えというメニューで、エネルギー量は740kcal。野菜を220g以上を使用し、1日の摂取目標量の60%をとれる。塩分を控えめにしデザートの甘さも抑えたという。

 フレンチの他に、中華料理、日本料理、洋食などのメニューがあり、いずれもエネルギーは500kcalから740kcalで、野菜を多めにし塩分や油を控えめにしてある。メニューは季節ごとに変わり、8月31日までは夏メニューを利用できる。

 「野菜バリバリ朝食モリモリ」は、大阪府が学校、家庭、地域、外食や流通産業、産地とが連携し、野菜や果物の摂取を増やすなど健康的な食習慣を身につけてもらうために推進している。

 府民の1日の野菜摂取量は全国平均より少ない235g。若い世代の野菜摂取量は特に少なく、小中学生 146g、高校生 208gだという。野菜や果物の摂取が少ないと発症リスクが高くなるという心疾患やがんなどの死亡率は全国に比べ高い。

 2002年の調査によると大阪府の糖尿病の人口10万対受療率*は男性159.0、女性127.4で、全国平均のそれぞれ139.7、105.0より高く、男性は全国9位、女性は6位だった。

大阪府立健康科学センター
ホテルニューオータニ大阪「カラダSMILE」

*「受療率」は調査を行った当日に受診した患者の推計数を求め、人口10万対で示したもの。患者がどのくらい多いかをみるための指標となる。どのくらい多いかを直接的に示す「罹患率」を全国で把握するのは難しいので、代わりに「受療率」を調べている。受療率は年齢構成による影響を受けるので、都道府県で比較できるように年齢調整を行う。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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