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2008年07月31日

ヒトGLP-1アナログ製剤 これまでにない新しい糖尿病治療薬

 現在治療に使われている2型糖尿病の治療薬は、大きく経口血糖降下薬(飲み薬)とインスリン製剤があるが、「インクレチン」を利用する全く新しい治療が開発され注目されている。

 インクレチンは、ヒトの体に自然にあるホルモンで、食事後に腸に栄養が到達すると分泌される。糖尿病の研究では、ブドウ糖負荷試験を行うと注射するよりも飲んだときの方がインスリンの分泌が増えることが以前から分かっていた。食物が消化管を通るときにインスリン分泌を促す何かが作用しているはずだと考えられた。

 それがインクレチンで、インクレチンは膵臓のβ細胞からより多くのインスリンを分泌するよう促すことが解明された。他にも胃内容物の排出を遅延させる、食欲を抑えるなど、さまざまな作用があることが知られている。β細胞が疲弊するのを防ぎ、β細胞の増殖などに関与するともみられている。

 インクレチンは「GLP-1」と「GIP」が知られている。米国など海外ではすでに治療に使われており、これまでにない新しい作用のある糖尿病治療薬として注目されている。

ヒトGLP-1アナログ「リラグルチド」を日本で承認申請
 ノボ ノルディスク ファーマは7月14日、2型糖尿病治療薬「リラグルチド」の承認申請を行ったと発表した。リラグルチドは、GLP-1の構造の一部を変更し、長時間作用する1日1回投与のヒトGLP-1アナログ製剤として開発された。

 リラグルチドはヒトのGLP-1と97%の相同性を有し、GLP-1受容体を介して血糖値が高い場合にのみインスリン分泌作用を発揮し、血糖値を下げる作用がある。そのため低血糖の発現リスクが低い。日本人による臨床試験では、重大な低血糖を起こさずに治療成果を得られることが確かめられた。

 この第3相臨床試験は、国内の678人の2型糖尿病患者を対象に行われた。リラグルチドを単独で使用する治療と、SU薬と併用する治療で、食事のときにインスリン分泌が増えることが確認された。24週投与後にHbA1c値は、リラグルチド単独療法とSU薬との併用療法で、ベースラインに比べ大きく低下した。また、SU薬の併用療法で、約半数の患者がHbA1c値6.5%未満を達成した。

 インスリン分泌の改善に加えて、β細胞の機能にも改善がみられることも認められた。また、インスリンやSU薬で治療を行うと体重が増えることがあるが、リラグルチドは体重を増加させないという。

ノボ ノルディスク ファーマ(株)

このページの記事の一部はノボ ノルディスク ファーマが2008年7月15日付で発表したプレスリリースをもとにしています。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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