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2008年10月24日

心臓発作の増加はフライや肉の多い欧米型食事が原因

キーワード
食事療法
 世界の心臓発作の約30%は、油で揚げた料理や塩分の多いスナック類、肉を多量に食べる欧米型の食事が原因となっているおそれがあるという研究報告が発表された。カナダのマクマスター大学のサリム・ユースフ博士らの研究チームが、米国心臓学会が発行する医学誌「Circulation」に発表した。

 研究者らは、さまざまな心臓発作の危険因子のある52ヵ国の約1万6000人を対象に実施した「INTERHEART研究」で得たデータを解析し、5761件の心臓発作と、心臓病の既往のない1万646人とを比較した。食品を19群に分けアンケートを行い、各国の食習慣と心臓発作の危険スコアとの関連をみた。調べた食品には野菜や果物といった健康的とみられる食品や、揚げものや塩気の多いスナックといった不健康とみられる食品が含まれていた。

 食事のパターンを、食事のタイプを大きく3パターンに分けて検討した。

  • 豆腐や醤油の摂取が多い「東洋型」食事
  • 野菜や果物を多量に摂取する「思慮深い(prudent)」食事
  • 油で揚げた料理、塩分の多いスナック、肉や卵を多量に摂取する「欧米型」食事
 その結果、「思慮深い」食事をしている人では、野菜や果物の摂取が少ない人に比べ、心臓発作の危険が30%低かった。逆に欧米型の食習慣のある人では、油で揚げた食品や肉の摂取が少ない人に比べ、心臓発作の危険が35%高くなることが分かった。食塩の摂取の多い東洋型では、心臓発作のリスク増減が少なく平均的だった。研究者は「野菜や果物をより多くとる食習慣に変えれば、心臓発作の危険を減らすことができるだろう」と指摘している。

 東洋型の食事には、大豆食品をとっていることなど心臓病を抑える要因がいくつかあるが、「塩分含有量の多い調味料を使っているとその恩恵は減る」と説明している。調味料には食塩が含まれており、日本の醤油は6g中に約1gの食塩が、味噌6g中に0.4gから0.7gの食塩が含まれる。これらで濃厚な味付けをすると食塩摂取量が多くなり、高血圧や腎症の増加につながる。

 糖尿病の食事療法では、料理の味付けは食塩、砂糖、みりんなどを控えめに使い、薄味にすることが勧められている。出汁やスープの味をいかす工夫が役立つ。

「欧米型」食事により心臓発作の危険が世界的に増す(米国心臓学会、英文)

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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