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2009年11月02日

糖尿病診断の基準項目にHbA1cを追加 新基準案を中間発表

 日本糖尿病学会(門脇孝理事長)は11月1日、東京都内で開催したシンポジウムで、糖尿病の新しい診断基準の策定についての中間発表を公表した。現在の診断で使っている血糖値に、過去1、2ヵ月の平均血糖値をあらわす指標であるHbA1c値を加える見通しを示した。

 現在の糖尿病の診断は、空腹時血糖値(FPG)、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)、随時血糖値により行っている。これに、過去1、2ヵ月の平均血糖値を反映するHbA1c値を導入することで、より確実な診断を目指す。

 FPGやOGTTは短期的な血糖値をみるもので、採血前に絶食を必要とするなど患者の負担が少なくない。また、食後2時間血糖値は変化しやすく、食事や運動、治療法などの影響を受けやすく、得られた検査値の判定が難しい場合がある。HbA1cであれば、1人の患者での検査値のばらつきが少なく、検査直前の生活習慣の影響も少ないというメリットがある

 新基準案では、血液検査の血糖値かHbA1cが基準値を超えた場合に糖尿病型とする。さらに、別の日にもう一度血液検査を受け、ふたたび基準値を超えた場合に糖尿病の診断が確定する。ただし、正確さを求めるために2度の血液検査ともHbA1cだけで診断することは認めず、1度は血糖値を確認することとする。血糖値の基準値は現行から変えず、HbA1cは6.1%以上の場合とする。

 糖尿病の新しい診断基準策定については、国際的に標準化をはかろうという動きがある。日本糖尿病学会では、同学会会員から新基準案への意見を募集する。改定されると、現在の診断基準が作られた1999年以来の大幅な改定となる。

公表された「HbA1cを用いる糖尿病診断手順案」
公表された「HbA1cを用いる糖尿病診断手順案」
社団法人日本糖尿病学会

関連情報

米国糖尿病学会で新たな診断基準にHbA1cを推奨
 HbA1c値は、日本糖尿病学会が定め国内で広く使用されているJDS値と、米国を中心に世界的に普及しているNGSP値とでは、算出方法と値が異なる。日本のHbA1cは米国よりも0.4%低値であり、米国糖尿病学会(ADA)と国際糖尿病連合(IDF)、欧州糖尿病学会(EASD)によって設置された国際委員会が勧告しているカットオフ値6.5%は、日本の基準では6.1%になる。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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