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2010年03月15日

メタボ該当者では医療費が男性1.4倍、女性1.6倍

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 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)のリスクのある人の通院などにかかる医療費は、リスクのない人に比べ、男性で1.4倍、女性で1.6倍に増える―。健康保険組合をもたない中小企業の従業員やその家族らが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)が、こんな分析結果をまとめた。メタボ健診の有効性があらためて確かめられた。

 協会けんぽが発足した2008年度の1年間に、生活習慣病の健康診断を受けた35歳以上の被保険者約425万人のデータを分析。健診結果にもとづき、メタボのリスクのある人と、そのリスクがない人について、1年間の医療費を比較した。

 調剤を含む入院外医療費は、メタボのリスクを保有する男性1人当たりの平均は11万2705円で、該当しない人(7万9619)の1.4倍になった。女性では、メタボのリスクのある人では13万9390円で、該当しない人(8万6055円)の1.6倍になった。

 入院医療費でも、メタボのリスクを保有する男性1人当たりの平均は3万6021円で、該当しない人(2万8318円)の1.3倍になった。女性では、メタボのリスクのある人では2万9976円で、該当しない人(1万9940円)の1.5倍となり、やはりメタボが該当する人で医療費が高いという結果になった。

 血圧や脂質、腹囲などの数値が高い人でも、いずれもリスクのある人では正常値の人より医療費が高くなった。

入院外医療費の比較(男性)

  • 最高血圧が130mmHg以上か最低血圧が85mmHg以上の「血圧リスク」のある人の医療費は、リスクのない人の1.2倍。
  • 中性脂肪が150mg/dL以上かHDLコレステロールが40mg/dL未満の「脂質リスク」のある人の医療費は、リスクのない人の1.1倍。
  • 空腹時血糖が110mg/dL以上の「代謝リスク」のある人の医療費は、リスクのない人の1.6倍。

 同協会が健診データと医療費を比較検討したのは今回が初めて。今後、健診や保健指導の実施により、医療費を抑制できるかどうかが問われている。

1人当たり入院外医療費(調剤を含む)

1人当たり入院外医療費(調剤を含む)

平成20年度の1年間、協会けんぽ(政府管掌健康保険)に継続して加入した35歳以上の被保険者に係る平成20年度のレセプトデータを使用。
各リスク保有率は、健診受診者のうち、次の者の占める割合。
(1) メタボリックシンドロームリスク保有率は、(2)に加え、(3)〜(5)のうち2項目に該当する者
(2) 腹囲のリスク保有率は、男性は85cm以上、女性は90cm以上の者
(3) 血圧のリスク保有率は最高血圧が130mmHg以上または最低血圧が85mmHg以上の者
(4) 脂質のリスク保有率は中性脂肪が150mg/dL以上の者またはHDLコレステロールが40mg/dL未満の者
(5) 代謝のリスク保有率は空腹時血糖が110mg/dL以上の者

第18回全国健康保険協会運営委員(全国健康保険協会)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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