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2010年05月06日

α-リポ酸の摂取で低血糖 サプリや健康食品として販売

キーワード
食事療法
 ダイエットや老化防止に効果があるとして健康食品として販売されている「α-リポ酸」を利用した人で、「自発性低血糖症」を発症したケースが報告されている。空腹感、悪心、冷や汗、手足の震え、動悸などの低血糖の症状が現れた場合は、すみやかに利用をやめ医師に相談するよう注意が呼びかけられている。

 「自発性低血糖症」は、2型糖尿病の治療で血糖降下薬を使用しているわけではないのに低血糖になるものをいう。血糖値が正常の範囲を超えて急速に低下すると、発汗、動悸、手指振戦、意識レベルの低下などの低血糖の症状が出てくる。

 厚生労働省研究班(主任研究者:内潟安子 東京女子医大糖尿病センター教授)がまとめた全国調査で、自発性低血糖症の起きた患者187人のうち、19人が「健康食品」を摂取しており、うち16人がα-リポ酸を摂取していることが分かった。

 α-リポ酸の摂取が原因とみられるインスリン自己免疫症候群(IAS)では、インスリン製剤を注射したことがないのにインスリンに対する自己抗体が出現し、低血糖が引き起こされる。HLA遺伝子と呼ばれる白血球の型をもつ人が、SH基と呼ばれる構造をもつ健康食品などをとると特に発症しやすい。

 この白血球の型をもつのは日本人の4〜8%とみられているが、SH基のある医薬品や健康食品などによって自発性低血糖症が起きた患者では、9割以上がこの白血球の型をもっていた。

 健康増進をうたったサプリメントや健康食品は、使い方によって医薬品と同じような副作用が起こるおそれがある。日本健康・栄養食品協会では「α−リポ酸を合む健康食品を摂取していて、空腹感、あくび、悪心、冷や汗、手足の震えなどの体調変化が現れた場合は、すみやかに摂取を中止し、医師、薬剤師などに相談してほしい」と注意をよびかけている。

 α-リポ酸(チオクト酸)は、医薬品として利用されているが、2004年の基準改正で健康食品としても売られるようになった。ビタミンではないが、ビタミン様物質として扱われている。体内で代謝を助ける働きをする補酵素のひとつで、抗酸化作用もあるとみられている。人間の体ではつくることができないので、食品から摂取する必要がある。

 2型糖尿病患者がα-リポ酸を摂取したところ、インスリン感受性や糖代謝の改善がみられたという研究が報告されているが、逆に「効果がなかった」という報告もある。

 インターネットの通販サイトなどで、α-リポ酸を含むサプリメントや健康食品が「疲労回復に良い」「体脂肪を減らす」「ダイエット効果がある」「老化防止に良い」「血糖値の高い人に」などとうたい販売されているケースもあるので注意が必要だ。

厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長通知(日本健康・栄養食品協会)
α-リポ酸の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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