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2010年07月29日

1型糖尿病のパイロット、飛行機で全米50州を周る記録に挑戦

 1型糖尿病の元英空軍のパイロットが、飛行機で全米50州に到着する記録をつくろうと挑戦を始めた。「糖尿病であっても、できないことはない」と熱く語っている。

 ロンドン在住のダグラス・ケアンズさんは7月11日に、飛行機でハワイを飛び立った。太平洋を横断しロサンゼルスへ、その後は最終目的地のアラスカまで、米本土の48州を順に周っていく計画だ。

 47歳のケアンズさんはこのプロジェクトを「糖尿病の飛行50(Diabetes Flight 50)」と名付けている。「糖尿病であっても、飛行機の操縦を含め、できないことはないと実際に示すことが挑戦の目的だ」と話している。

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世界初の1型糖尿病患者による世界一周飛行
 ケアンズさんは、英国空軍で5年以上服役した後の1989年、25歳のときに1型糖尿病と診断された。当時は糖尿病のある人が飛行機を操縦することは全面的に禁止されていたため、操縦を断念せざるをえなかったという。「体重が約26ポンド(約11.8キログラム)減り、“糖尿病なのでパイロットを続けられない”と言われた」という。

 しかし、1990年代後半に米国で法改正があり、1型糖尿病のパイロットによるフライトが可能になった。ケアンズさんは2000年にパイロットのライセンスを再取得し、また飛べるようになった。

 その後5年間にわたり飛行訓練を重ね、安全のために隣席に別のパイロットを伴いながらも、数々の記録をつくった。2003年には1型糖尿病をもつパイロットとして世界で初めて世界一周飛行を達成した。3年間にスポンサーを募り、2つの米国大陸横断記録を含む5つの世界記録もつくった。

 糖尿病の治療は、この10年間だけでも飛躍的に進歩している。今回の飛行では、1日11時間以上を飛行に費やし、現在の記録である13日22時間22分を半分に短縮しようと目標をたてている。

 「米国では、インスリン治療を行っている糖尿病のパイロットは全て、離陸30分前、飛行中は毎時間ごと、さらに着陸30分前に血糖測定を行うことが要求される。5分ごとにグルコース濃度を連続測定する持続血糖測定(CGM)システムが開発されことは画期的だった」とケアンズさんは話す。

 ケアンズさんの次の挑戦は「糖尿病の飛行90(Diabetes Flight 90)」。飛行機でアラスカにある最北の町バロウを越え、北緯90度の北極点を目指すという。

Douglas Cairns, a Type 1 diabetic pilot, attempting to break the existing record to land in all 50 states(米Dexcom社)
Pilot with type 1 diabetes to fly over 50 US States(国際若年性糖尿病研究財団:JDRF)
Diabetes Flight 50, flying and diabetes research

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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