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2010年09月01日

豆腐は食事療法の強い味方 大豆の蛋白質がたっぷり

 豆腐は、最近では海外でも健康的な食品として認知されるようになっている。豆腐は「tofu」と呼ばれ、今や世界共通語といってもいいほど。大豆からつくる豆腐は良質な蛋白質の供給源となるが、それ以外にも体に良い栄養成分がいろいろ含まれる。
豆腐は世界共通の食材
 ごはんを主食にして主菜・副菜をそろえた日本食は、カロリーをコントロールしやすく、野菜や海藻、大豆食品、魚などもとれるので、「健康的な食事」として世界的に人気がある。日本の食材の中でも、米国や欧州の人たちにまず受けいれられたのは豆腐だった。豆腐の味にはクセがなく、調理法も多いので受けいれやすかったようだ。

 特に米国では、食事でカロリーをとりすぎていたり、移動に車を使い歩かなくなり運動不足になり、肥満が爆発的に増えている。米国成人の3分の2は肥満か過体重だという。肥満は動脈硬化を促進し、心臓病や脳卒中、2型糖尿病の発症や悪化の原因にもなる。

 肥満を抑え生活習慣病に対策するために、健康的な食生活が大切となる。そこで注目されているのが豆腐だ。肉食の多い現代人にとって、蛋白質の豊富な豆腐は肉の代りになる優れた食品だ。

 豆腐は日本では古くから精進料理として利用されており、豆腐を多くとっていた地方で長寿者が多いことから長寿食といわれてきた。栄養学が発達すると、良質な蛋白質を含み栄養面で優れた食品であることが分かってきた。

 豆腐が体に良い理由を確認してみよう

  • 豆腐は良質な蛋白質の供給源
     もめん豆腐100gのカロリーは72kcalくらい。豆腐は低炭水化物で低カロリーだ。原料となる大豆は、畑の肉といわれるように、良質な蛋白質の供給源として重要。それ以外にもビタミンB、ビタミンE、カルシウム、食物繊維なども含まれる。

  • 植物性の不飽和脂肪酸
     豆腐にはコレステロールが含まれないが、実は脂肪が含まれる。豆腐の味は淡泊なので、脂肪があるとは想像しにくいかもしれないが、脂肪は蛋白質に次ぐ豆腐の栄養成分となっている。豆腐のなめらかさややわらかさのかたちづくりにも脂肪が寄与している。
     ただし豆腐の脂肪は、ほとんどはオレイン酸やリノレン酸など体に良い効果のある植物性の不飽和脂肪酸だ。不飽和脂肪酸には血液中のLDL(悪玉)コレステロールを減らし、コレステロールのバランスを良くするはたらきがあり、心臓病を予防するのに有用だ。不飽和脂肪酸にはn-3系とn-6系があり、バランス良くとるのが望ましいとされるが、豆腐にはその両方が含まれる。

  • 豆腐は消化・吸収されやすい
     豆腐は大豆を磨砕し、加熱し絞った豆乳を凝固させたもの。蛋白質や脂肪など大豆の成分は、絞りかすのおからに残る以外は豆腐に移っている。
     豆腐の原料である大豆は繊維質が多く硬いので、あまり消化は良くない食品だが、豆腐ではその吸収はとても優れている。栄養的に優れているが消化のあまり良くない大豆を、消化吸収の良いように加工したのが豆腐といえる。

  • 大豆ペプチド
     豆腐に含まれる大豆ペプチドは、原料である大豆を酵素分解し発酵させる過程でつくられる。大豆ペプチドは、さまざまな機能を期待できる成分として期待されている。ペプチドは蛋白質をかたちづくる「アミノ酸が数個から数十個つながった成分」で、蛋白質とアミノ酸の中間産物。食品の蛋白質はアミノ酸に分解されてから小腸で吸収されるが、蛋白質のままでは消化吸収されるのが遅い。豆腐や納豆などの大豆ペプチドであれば、短時間で効率よく吸収される。
     大豆ペプチドには消化管内でコレステロールの排泄を促進する作用などがあり、コレステロールを低下させるはたらきをする。総コレステロールとLDLコレステロールが低下したという研究報告もある。

  • イソフラボン
     豆腐に含まれる「大豆イソフラボン」には、女性ホルモンに似たはたらきがあり、高血圧や高コレステロールを抑え動脈硬化を防ぐと考えられている。
     厚生労働省の研究班は、豆腐など大豆からつくった食品を多く食べる女性は脳梗塞や心筋梗塞になりにくく、特に閉経後女性では2型糖尿病の発症リスクも低くなるとの研究結果を発表した。
     女性ホルモン(エストロゲン)には、糖の代謝や脂肪細胞を調節したり、脂質生成を阻害するはたらきがある。それと構造が似ているイソフラボンにも弱いながら同様の作用があると考えられている。

大豆製品・イソフラボンの摂取で2型糖尿病のリスクが低下-糖尿病NET
Getting to Know Tofu(米国糖尿病学会)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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