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2010年11月09日

GLP-1受容体作動薬「バイエッタ」 飲み薬とインスリン療法の間の新しい位置づけ

 医師がGLP-1受容体作動薬に期待する効果は「HbA1cの改善」、「食後高血糖の改善」が多いが、約半数は副次的な作用として「体重増加の抑制」を期待し、「経口薬2剤目を服用中の患者さんに使用したい」と考えていることが、日本イーライリリーの調査で明らかになった。

 調査は今年9月に、日本イーライリリーが医師206名を対象にインターネットを用い実施。調査からは下記の実態が浮き彫りとなった。

  • 「HbA1c」と「体重」は、糖尿病治療のいずれの段階においても、患者への指導に使用されている代表的指標である。
  • GLP-1受容体作動薬全般には、現在の糖尿病治療の課題とも重なる「HbA1cの改善」「食後高血糖の改善」に加え、副次的作用としての「体重増加の抑制」が期待されている。
  • GLP-1受容体作動薬は、特に、経口血糖降下薬2剤以上の患者への処方意向が高く、経口血糖降下薬療法とインスリン療法の間の新しい位置づけでの使用に期待が高い。

 日本イーライリリーは、食事・運動療法に加えてスルホニルウレア剤(ビグアナイド系薬剤またはチアゾリジン系薬剤との併用を含む)を使用しても十分な効果が得られない2型糖尿病患者への併用療法として、今年10月27日にGLP-1受容体作動薬「バイエッタ®皮下注5μgペン300」「バイエッタ®皮下注10μgペン300」の製造販売承認を取得した。

 バイエッタは2005年に米国で発売された世界初のGLP-1受容体作動薬で、世界80ヵ国以上で承認され、のべ120万人以上の患者に使用されている。血糖コントロールへの貢献に加え、副次的な作用として体重減少も報告されており、新しい糖尿病治療選択肢として期待されている。

 同社では「類薬で認められたSU薬併用時の低血糖管理の重要性、ならびにGLP-1受容体作動薬がインスリンの代替ではなくインスリン依存状態にある患者には用いるべきではないことなど、バイエッタの適正使用推進のため、まずは専門医を中心とした情報提供活動を行っていきたい」と述べている。

「経口薬療法とインスリン療法の間の新しい位置づけ」に期待

 調査で医師に「GLP-1受容体作動薬を最も処方したいと思う患者」について聞いたところ、「経口薬2剤目を服用中で、十分な効果が得られていない患者(インスリン導入前)」がトップで48.1%に上った。次いで「経口薬1剤目を服用中で、十分効果が得られていない患者(インスリン導入前)」(18.0%)、「食事・運動療法指導中で、十分な効果が得られていない患者(インスリン導入前)」(14.6%)と続いた。

 今回の調査を監修した東京大学大学院の門脇孝教授は、「よりよい血糖コントロールのためにはインスリン治療という治療選択肢があるものの、依然として体重コントロールという課題が存在していた。GLP-1受容体作動薬という新しい糖尿病治療選択肢が、血糖コントロールと体重のコントロール、ひいては糖尿病合併症予防に貢献することを期待している」とコメントした。

詳しくは下記サイトをご覧ください――
医師206名を対象に、糖尿病治療の課題およびGLP-1受容体作動薬に関する意識調査を実施(日本イーライリリープレスリリース)
日本イーライリリー

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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