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2011年07月04日

医療費負担よりポンプの満足度の方が高い 糖尿病ネットワーク調べ

 糖尿病ネットワークでは、今年3月25日〜4月11日(18日間)に、「インスリンポンプの普及と医療費に関するアンケート調査」を行った。対象者は、メルマガに登録している患者さんの中からポンプ適応例の多い1型糖尿病患者さん、医療スタッフ、そして、インスリンポンプ取扱い医療機関リストに登録している医療機関の医師、の3者(回答者は、それぞれ210名、76名、20名)。
CSII普及は世界から遅れ
 「インスリンポンプ療法(持続皮下インスリン注入(CSII)療法)」は、専用の携帯型インスリン注入ポンプを用いて、インスリンを皮下に持続的に注入する治療法。厳格な血糖コントロールを実現するのに有用であり、生理的なインスリン分泌に近いインスリン注入ができるので、血糖コントロールが不良の患者さんでも低血糖の発現を抑えながら改善を期待できるとして、1型糖尿病患者さんを中心に適していると言われている。
 インスリンポンプ療法は、米国やドイツでは、1型糖尿病患者さんの15〜30%に普及しており、インスリン療法の選択肢の1つとしてすでにメジャーな存在だが、日本ではまだあまり普及していないのが現状だ。諸外国では、最新の医療機器が患者さんに使用されているが、日本ではデバイスギャップのため活用できないという課題に加え、保険制度などが障害となって、適正に享受できていないケースもある。
導入患者さんの満足度は高い
 調査では、CSIIの認知について、1型糖尿病患者さん、医療スタッフ共、約8割が「知っている」との回答だったが、56%の患者さんは、主治医や医療スタッフから詳しい説明を受けたことはないとの答えだった。また、1型糖尿病患者さんのインスリン療法導入時、インスリン治療の1つとして、頻回注射に加え、インスリンポンプがあることを患者さんへ説明しているか?について、医療スタッフの42%は「とくに説明していない」と回答し、「説明している」と答えたのは12%。回答者が勤める医療機関でのポンプ導入率は37%で、導入していない理由として「ポンプ療法について、医療スタッフがよく知らない」が54%と最も高く、患者さんがポンプ療法を行いたいと希望しても対応が難しいという状況が見受けられた。
 慢性疾患である1型糖尿病患者さんは、毎月の支払額が高額療養費の適用を受けられる金額ではないため、国や自治体からの医療費補助を受けられないのが現状。調査では、1型糖尿病患者さんが支払っている年間の医療費は、治療法や合併症の有無などによって人それぞれで、年間15〜20万、ポンプ療法を行っている方は年間18〜20万円程度が多かった。これについて、患者さんの84%が医療費助成の必要性を希望されており、医療スタッフも8割が助成が必要、高額医療費の適用が妥当と回答した。
 ただし、ポンプ療法を行っている患者さんでは、以前より医療費が高くなったと感じている方が半数いたものの、44%が「医療費負担よりインスリンポンプの満足度の方が高い」、27%が「支払っている医療費は妥当である」と、導入患者さんの満足度は高かった。適応・希望される患者さんへ広くポンプ治療が受けられるよう、国や医療機関等での体制整備が望まれるところである。

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日本医療・健康情報研究所

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