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2012年05月23日
カーボカウント 糖尿病の食事療法に採用される日は近い
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第55回日本糖尿病学会年次学術集会(JDS2012)
カーボカウントをめぐる議論が、5月17日から19日まで横浜で開催された第55回日本糖尿病学会(JDS2012)でかわされた。
「カーボカウント」は「食品交換表に基づく食事療法」の基本を変えるものではなく、食事療法を良好に導くためのひとつの手段として活用されるべきとの共通認識が示された。まず「食品交換表」による食事療法をしっかりと行った上で、オプションとして必要に応じてカーボカウントへ進む方法が検討されている。
「カーボカウント」は「食品交換表に基づく食事療法」の基本を変えるものではなく、食事療法を良好に導くためのひとつの手段として活用されるべきとの共通認識が示された。まず「食品交換表」による食事療法をしっかりと行った上で、オプションとして必要に応じてカーボカウントへ進む方法が検討されている。
食品交換表で栄養素の質と量をよく理解しておくことが重要
カーボカウントは、食後の血糖上昇にもっとも影響を与える炭水化物に重点をおいた食事療法のひとつ。1990年代前半に行われた1型糖尿病を対象とした大規模研究DCCTで、カーボカウントは食事指導のひとつに採用された。その後、米国糖尿病学会(ADA)は、血糖コントロールのための食事療法では、炭水化物は量が重要であるとの見解を打ち出した。
食事療法の目的は、血糖・血圧・脂質を管理して、さまざまな合併症の発症予防・進展防止をはかること。血糖コントロールは特に重要で、食後の血糖上昇にもっとも影響を与えるのが炭水化物だ。
京都大学大学院人間・環境学研究科の津田謹輔教授は、「カーボカウントは、炭水化物量にもとづく血糖管理に重点をおいた指導方法。米国の食品交換表は、日本の食品交換表と異なり、エネルギー量は計算しにくいが、炭水化物量は算出しやすい」と指摘した。
カーボカウントの指導は炭水化物を含む食品の見分け方から始まるので、受け入れやすく実践的な食事療法となる。「しかし、カーボカウントも決して炭水化物の指導だけではない。タンパク質、脂肪、アルコールもカウントする」と津田氏は注意を促している。
カーボカウントは「基礎カーボカウント」と「応用カーボカウント」の2つの方法がある。基礎カーボカウントでは、食品に含まれる栄養素と食後の血糖値の変動の関係を学び、そして許容範囲内で炭水化物量を正しく調整して食後の高血糖の度合を推定する。血糖値の変動に食事や薬剤、身体活動度が及ぼす影響についても学ぶことが重要となる。
また、応用カーボカウントは強化インスリン療法中の糖尿病症例が適応となり、食品中の炭水化物量とインスリン投与量を適合させることが中心となる。インスリン療法を行っている患者にとっては、炭水化物の量に応じてインスリン量を決定できるので利便性は高いが、基礎カーボカウンの学習を経ることが必須となる。
「食品交換表」にもとづく食事療法は、主食と副食の栄養素バランスを、それらの摂取量も含めて調整するうえで優れている。杏林大学医学部第三内科(糖尿病・内分泌・代謝内科)の石田均教授は、「日本人が自ら育んできた主食と副食から成る日本食(和食)は、植物性や動物性などあらゆる種類の食材が豊富で、調理法も多彩だ。まず食品交換表により栄養素の質と量の良好なバランスをあらがじめ理解しておくことが重要な前提となる」と強調する。
食事に含まれる炭水化物の配分に加え、「食品交換表」に基づく蛋白質や脂質の質の考慮も同時に行うことを重視し、「日本人にとって一番ふさわしいカーボカウントヘの道を切り開くことが重要」と付け加えている。
京都大学医学部附属病院疾患栄養治療部の幣憲一郎氏は、「2型糖尿病患者には食品交換表を中心とした栄養指導が実践され、基礎カーボカウントという考え方に類する部分での指導が実践され、情報も提供している。近年の動向として、早期にインスリンを使用する2型糖尿病患者も増え、1型糖尿患者者の療養指導に携わる機会も多くなっている。高血糖や低血糖を繰り返しているような1型糖尿病患者には、応用カーボカウントといった考え方を、食品交換表を併用しながら教育することが必要となる」と指摘した。
第55回日本糖尿病学会年次学術集会
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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