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2012年07月09日

神奈川糖尿病療養指導士 糖尿病患者を強力に支援

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 神奈川地域糖尿病療養指導士(KLCDE)は、糖尿病とその療養指導全般に関する知識をもち、熟練した療養指導を行うことのできる医療スタッフに与えられる資格だ。地域の糖尿病患者に寄り添って療養の手助けをするとともに、糖尿病の予防に邁進するエキスパートといえる。

地域の中核を担う活躍が期待される療養指導士
 糖尿病の治療は自己管理が占める比重が大きく、患者にとって負担が多い。治療を継続しなければならないことが、さらに患者の負担感を増す。糖尿病の治療に対し負のイメージを抱いてしまいがちだ。

 この問題の解決には、糖尿病専門医だけではなく、かかりつけ医を中心として、看護師、栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、健康運動指導士、保健師など医療関係者がチームをつくり、地域に根ざした療養指導を行なうことが必要となる。

 日本の糖尿病患者は急増を続けている。糖尿病は、初期には自覚症状が出にくいことから、治療を放置・中断する人も少なくない。しかし、知らないうちに病状が進行し、失明したり、腎不全により血液透析が必要になったり、心筋梗塞、脳梗塞、壊疽などを合併し、QOL(生活の質)の低下や生命予後の悪化などの問題が引き起こされる。

 糖尿病患者に適切な知識をもってもらい、治療を継続してもらう対策が必要とされている。そのため糖尿病療養活動が活発な地域では、独自に地域糖尿病療養指導士(LCDE)とよばれる制度が設立されている。糖尿病の治療や、患者の療養生活を円滑に行うために、医師と専門の医療スタッフが参加したチーム医療を地域ごとに展開している。

 なかでも神奈川県では活気ある取り組みが行われており、「神奈川糖尿病療養指導士(KLCDE)」という資格が認定されている。糖尿病患者指導に熱意あふれる医療スタッフがこの資格を取得し、地域医療の底上げに貢献している。

 神奈川で糖尿病の研究会や糖尿病療養支援に関わるスタッフ教育を行っている研究会や団体が協力して、神奈川糖尿病療養指導士認定機構を立ち上げ、2007年にはじめて認定を行った。2012年4月時点で、396名が認定されている。

 神奈川糖尿病療養指導士は、糖尿病外来や糖尿病教室などで集団指導を行っているほか、栄養指導・服薬指導・運動指導はじめ、フットケア・自己血糖測定の指導など患者の糖尿病の状態に合わせた療養指導を行っている。

 糖尿病療養指導士は、糖尿病に限らず、生活習慣病全般について、患者の相談を受けている。患者だけでなく、食生活や生活習慣が共通する傾向がある家族を含めた支援も必要だ。糖尿病の治療について疑問や悩み、心配事のある患者は、近くの医療機関の糖尿病療養指導士に気軽に相談してみてはいかがだろう。解決策はかならずあるはずだ。

●神奈川糖尿病療養指導士認定機構の取組み

 神奈川地域糖尿病療養指導士(KLCDE)の活動は各地域の特色をいかしたものが多く、実際その地域で成功しているケースが多い。

  • 神奈川糖尿療養指導士認定機構研修会の開催(毎年夏開催(9月ころ)
    KLCDE取得者を始め、糖尿病に関する知識向上を目的とする医療機関スタッフ等が参加。

  • 神奈川糖尿病療養指導士交流会の開催(毎年夏開催(6月ころ)
    KLCDE取得者を対象に、日ごろの療養支援活動で感じる“疑問”や“悩み”、“患者さんとの関わり方”などをざっくばらんに意見交換してもらう場として開催。
    他職種のKLCDEと交流することで、自身の療養支援に対する視野(考え方)を広げるきっかけになるような取り組みを行っている。

  • KLCDE認定研修会の開催(年間約70件)
    糖尿病の研究会やスタッフ教育を行っている団体が各地域で開催するKLCDEの認定研修会。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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