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2012年09月25日

女性のウエストサイズは60年で15cm増加

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運動療法
 女性のウエストサイズは、この60年間に15cm以上増えたという研究が英国で発表された。家事をする女性が減ったことが原因だという。「毎日の掃除や洗濯といった家事の身体活動量はかなりのものだ。1950年代の主婦はこうした家事に従事することで、カロリーを多く燃焼しており、結果としてウエストが細かった」と研究者は話している。

家事から解放されて肥満が増えた
 1950年代は、体を使って掃除や洗濯、徒歩での移動をするのが当たり前だった。こうした日常での身体活動は、女性にとってかなりのハードワークになっており、燃焼するカロリーは、1日に1,000kcalにも上っていたという。

 「1950年代には掃除機や洗濯機、調理器などは普及していなかった。こうした便利な機器が登場し、女性は家事から解放されたが、その代償として日常での身体活動量は減少した」と英国の医療保険会社SAGAの研究員であるロス アルトマン氏(経済学)は話す。

 英国では女性の肥満が増えている。最近の調査によると、英国人の肥満の割合は、男性22.1%、女性の23.9%だ。また、中年女性のウエストサイズは1950年代は平均71cmだったが、現在は86cmだという。調査は、英国の医療保険に加入する約8,000人の男女を対象に行われた。

 「毎日の掃除や洗濯といった家事の身体活動量はかなりのものだ。1950年代の主婦は家事に従事することで、カロリーを多く燃焼していた。今日では女性は運動のために、忙しい日常の合間にジムに通わなければならない。毎日続けるのは無理だという女性は多い」とアルトマン氏は指摘する。

座ったままの生活スタイルが定着
 身体活動の強度は、「メッツ」という単位であらわされる。これは身体活動の強さを、安静時の何倍に相当するかであらわしたもので、座って安静にしている状態が1メッツ、普通歩行が3メッツに相当する。

 歩行、床そうじ、介護、庭仕事、洗車、運搬、階段など、日常での身体活動は中強度以上の運動になる。掃除やモップかけ、軽い荷物運びは3メッツで、高齢者の介護、庭仕事は4メッツ、芝刈り、家具、家財道具の移動・運搬は5メッツだ。

 1日を座ったまま過ごす生活スタイルが増えているのも、女性の肥満が増えた一因になっているという。「今日では女性の多くは乗用車を持っており、足を使って移動することが少ない。私の母親の世代は、どこへでも徒歩で移動していた」とアルトマン氏は言う。

 毎日、体を活発に動かしていただけではない。60年前には高カロリーのファストフードなどは普及しておらず、食料は配給制であることも多かった。1950年代の女性の1日の摂取カロリーは今日よりも少なかったとみられている。

 現在の英国の女性は、推奨されているカロリー摂取量は2,000kcalであるのに対し、実際には平均2,178kcalを摂取しているという。一方、1日に消費しているカロリーは平均1,818kcalしかない。

 一方、英国人の平均寿命は延びている。65歳の人の平均余命は、女性は24.2年、男性は21.7年だという。「高齢化が進むと、肥満はより増えていく。中高年のうちから、日常での身体活動を増やしていく対策が求められている」とアルトマン氏は強調している。

SAGA

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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