ニュース
2012年10月17日
リンゴを毎日食べると血管が健康になる
- キーワード
- 食事療法
「1日に1個のリンゴは医者を遠ざける」ということわざは本当かもしれない。米オハイオ大学の研究によると、約1ヵ月間、毎日リンゴを1個食べると、動脈硬化の原因となる酸化LDLが大幅に減少するという。リンゴの抗酸化物質が作用しており、その効果はサプリメントや緑茶、トマトなどを上回るという。
「LDL(悪玉)コレステロールがフリーラジカルにより酸化されてできた酸化LDLは、血管壁を傷つけ、健康な血管が本来もっている血管拡張作用を損なう。さらに、酸化LDLが血管壁に沈着すると、アテローム性動脈硬化を引き起こされ、心血管疾患の原因となる」とオハイオ大学農業研究開発センターのロバート ディシルベストロ教授(栄養学)は話す。 「リンゴを1日に1個食べることを4週間続けると、酸化LDLが大きく減少した。この違いは、冠動脈疾患をもっている人と健康な人を比べたときと同程度だった」としている。 ディシルベストロ教授は、これまでにもクルクミンなどの香辛料や緑茶、トマトの抽出物などさまざまな抗酸化物質を用いて酸化LDLの低下作用を研究しているが、「リンゴの効果はこれらを上回っている」と強調している。 研究の対象となった50人の被験者は、(1)40〜60歳で喫煙習慣がない、(2)リンゴを食べる頻度が月2回未満で、(3)ポリフェノールを含むサプリメントを服用していない――という条件を満たしていた。 被験者を3群に分け、4週間毎日、次のものを摂取してもらった。「リンゴ群:大きめの赤または黄リンゴ」、「サプリ群:リンゴから抽出したポリフェノール(194mg:リンゴ1個相当)をカプセルにしたサプリメント」、「プラセボ群:ポリフェノールを含まないプラセボ・カプセル」。 その結果、リンゴ群では酸化LDLが40%も減少した。サプリ群でも減少はみられたがリンゴ群ほどの効果はみられなかった。プラセボ群には変化がなかった。 「酸化LDLを減らす有効成分がポリフェノールであることは分かっていた。しかし、ポリフェノールだけを抽出したサプリメントを服用してもらったところ、リンゴほどの効果は得られなかった。リンゴにはポリフェノールの吸収を促す他の活性成分が含まれているようだ」とディシルベストロ教授は話す。 リンゴは唾液中の抗酸化物質にも影響を与え、口腔衛生に役立つ可能性もあるという。 Study: An Apple a Day Lowers Level of Blood Chemical Linked to Hardening of the Arteries(オハイオ大学 2012年10月2日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
食事療法の関連記事
- 「卵を1日に1個」は健康的 卵を毎日食べても糖尿病や心臓病のリスクは上昇しない
- 塩分のとりすぎは糖尿病リスクを高める 減塩すれば高血圧も改善 減塩食品は身近で買える
- 気候変動による気温上昇が糖尿病リスクを高める エアコンを効果的に使い高温によるリスクを減少
- 牛乳やヨーグルトが脂肪酸のバランスを向上 野菜は高血圧を改善 菓子類はなぜNG? 糖尿病の人の食事
- タバコは糖尿病リスクを高める 禁煙すると合併症リスクは大幅に減少 禁煙後に太るのをどうすれば防げる?
- 「植物ベースの食事」が糖尿病リスクを軽減 高血圧も改善 肝臓と腎臓を守る
- 糖尿病とともに生きる人の寿命は延びている 自分らしく長生き いますぐ取り組むべき「8つの生活スタイル」
- 果物の食べすぎは糖尿病の人に悪い? ドライフルーツなら大丈夫? 果物の効果的な食べ方が判明
- 「低カロリー甘味料」が過体重や肥満の人の体重管理を改善 糖尿病リスクも高めない 欧州肥満学会議が発表
- 「歯周病」は糖尿病の合併症 血糖値を下げると歯周炎も改善 歯科でケアを受けるのは効果的