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2013年12月10日

糖尿病合併症の恐さを自覚していない患者が多い ADA調査

国際糖尿病連合(IDF)世界会議
 糖尿病や糖尿病予備群の多くは、心臓病や脳卒中などの危険性が高い状態にあるのに、そのことを自覚していない人が多い――米国糖尿病学会(ADA)が、糖尿病合併症の恐ろしさを、もっと多くの人が知識として共有すべきだとする調査結果を発表した。
医師と医療スタッフによる説明は十分ではない
 調査、米国の40歳以上の2型糖尿病患者1,426人と、糖尿病療養指導士などの医療スタッフ601人を対象に行われ、ADAが主導しているキャンペーン「糖尿病に対して自ら進んでチェックアップしよう(CheckUp America initiative)」の一環として行われた。

 網膜症や腎臓病、手足のしびれなどの神経障害に加えて、糖尿病は動脈硬化の原因となる。動脈硬化を治療しないでいると、心臓病や脳卒中も引き起こされる。これらは糖尿病患者の寿命を縮める原因となる。

 調査では、糖尿病や糖尿病予備群のうち、糖尿病合併症の危険性について自覚していた人の割合は30%であることが判明した。さらに、心臓病などの糖尿病合併症の危険性について十分に理解しているという人は25%に上った。

 しかし、自分の血糖値や血圧値、コレステロール値について医療スタッフと話し合い、検査を受けるごとにすべて確認しているという患者は全体の半分以下だった。「自分が危険な状態にあると考えたことがなかった」と答えた人も40%に上ることが判明した。

 合併症のリスクがとくに高いのは、肥満や過体重の人や、運動不足が慢性化している人だ。健康的な食事や運動の習慣化によって、糖尿病合併症の危険性を大きく下げることができる。このこと理解していたのは、肥満の人では70%、運動不足の人では37%だった。

 「生活スタイルを変えることが、糖尿病合併症を予防するために不可欠です。糖尿病の恐ろしさについて十分に理解しないでいることが、患者の治療への主体的な参加を妨げています」と、米ウィンスロップ大学病院糖尿病・肥満研究所(ニューヨーク州ミネオラ)のバージニア ペラガロ-ディトコ氏は述べている。

 糖尿病では、自覚症状がないまま気付かぬうちに合併症が進行していく。多くは予防が可能だが、自覚症状が伴わないので、多くの患者では「食事や運動などの生活スタイルを変えていこう」というやる気を引き出すのが困難だ。

 生活スタイルを健康的に変えていこうという意欲をもてない理由として、80%は「自分がそんなに悪い状態にあるとは思っていなかった」、「健康状態が万全といかないまでも、ほどほどに健康だと思っていた」と回答した。

 「糖尿病患者の4分の1は、自分が健康上の問題を抱えていることに気付いておらず、自ら積極的に治療に取り組もうという気持ちをもたないでいます。糖尿病合併症の危険性について、広く知らしめる必要があります」と、ペラガロ-ディトコ氏は指摘している。

Health Care Providers Need to Make a Stronger Link between Risk Factors and Diabetes/Heart Disease Development to Motivate Patients to Change Behaviors(米国糖尿病学会 2013年12月4日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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