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2015年02月10日

おいしい減塩食品がコンビニで買える 国循の「かるしお認定」

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食事療法
 国立循環器病研究センターは減塩食品の利用促進を目的に「かるしおプロジェクト」を展開している。「かるしお認定」を受けた加工食品の第1号が発売された。
減塩食の認定マークを表示する「かるしおプロジェクト」
 2010年国民健康・栄養調査によると、日本人では男性の約6割、女性の4割が高血圧(140/90mmHg以上)と判定される。高血圧は脳卒中や心臓病、腎臓病などの危険因子であり、その予防と治療は今や国民的な課題となっている。そこで大切なのが、食事の塩分コントロールだ。

 厚生労働省が推奨する日本人の1日当たりの食塩摂取量の目標値は、男性が8g未満、女性が7g未満。高血圧治療のガイドラインでは6.0g未満を目標値としている。しかし、2013年の調査では、1日当たり、男性が11.1g、女性が9.4gで、ほとんどの日本人は目標量をはるかに超える食塩を摂取しているのが現状だ。

 その状況を改善しようと「かるしおプロジェクト」と題して、さまざまな減塩食の提案をしているのが、循環器疾患の専門医療機関である国立循環器病研究センター(国循)だ。

 特に話題を呼んだのは、発売から2年で33万部を売り上げたという料理本「国循の美味しい!かるしおレシピ」(セブン&アイ出版)だ。1日の塩分摂取量が「6g未満」(1食2g未満)という驚異的に少ない塩分量でありながら、京都の割烹で修行した調理師長が作った「日本一おいしい」と言われる入院食を、家庭でも再現できるという一冊。

 「野菜を多くとる」「だしを使い、酸味や香りを利用する」「野菜は煮るよりグリルや蒸して調理」「とろみで味の絡みをよくする」など、長年培ってきた知識を駆使し、わずかな塩分でも素材の味を引き出すことができる多くの工夫が紹介されている。

 調理法を工夫することが減塩の基本とは言っても、少人数分の献立を手間をかけて整えるのは難しい。「血圧は気になるが、忙しくて料理に手がまわらない」という人も多いだろう。

「かるしおマーク」の第1号を発売 だしのうま味で減塩
 そこで国立循環器病研究センターは、2014年に市販品を対象に認定マークの表示を認める「かるしお認定」をスタートさせた。多くの人が手軽に減塩できるよう、市販のおいしい減塩食品を増やしていく取り組みだ。

 認定基準は、類似する食品の平均的なナトリウム含有量に比べて、(1)100g当たり120mg以上少ないこと、(2)対象品と比べて同等レベル以上においしいこと、(3)栄養表示やパッケージなどの外観が適切であることなど。

 認定の条件は、たとえば飲食店の定食や弁当なら、1食当たり600kcal程度で塩分2.0 g未満。野菜や海藻、きのこを150g使用していること。単品の総菜は、1品当たり塩分0.5g以下か、通常の商品より3割以上カットしてあることなどだ。

 企業からの申請を受け、国立循環器病研究センターが審査して認定すると「かるしおマーク」を商品に表示できる。企業は「国循」お墨付きの減塩商品として、消費者に付加価値をアピールすることができ、企業のイメージの向上にもつながる。

 エースコックは2月2日、「かるしおプロジェクト」が認定した加工食品の第1号となる「かるしお認定 だしの旨みで減塩中華そば」などを発売した。塩分を約3割カットし、鶏だしや香味野菜などの風味を生かした味わいが特長。

 減塩に取り組む商品がどれか一目で分かり、塩分の心配なしに利用できるようになるのなら、消費者にとっては大歓迎だ。このプロジェクトが日本人の食生活の改善に役立つことを期待したい。

かるしおプロジェクト(国立循環器病研究センター)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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