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2015年09月06日

アルコールが女性の乳がんリスクを高める たった1杯でも影響あり

 女性が軽度から中程度の飲酒を続けていると、がんの発症リスクが上昇することが、13万5,000人以上を30年にわたり追跡した調査した研究で明らかになった。
1日に缶ビール1本を飲むと乳がんリスクが13%上昇
 多量のアルコール摂取はさまざまな病気の原因になるが、今回の研究では、軽い飲酒習慣でもがんのリスクの上昇につながることが示された。特に女性では影響が大きいという。

 ハーバード大学公衆衛生大学院の研究チームは、米国で1980年に開始された「看護師健康研究」(Nurses' Health Study)と、1986年に開始された「医療従事者追跡研究」(Health Professionals Follow-up Study)に参加した女性8万8,084人と男性4万7,881人について、飲酒量とがんの発症の関連を、30年にわたり追跡調査した。

 研究チームは、大腸がん、女性の乳がん、肝がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がんについて、飲酒との関連を調べた。

 追跡期間中に、女性19,269名、男性7,571名がんと診断された。解析したところ、軽度から中程度の飲酒は、がんリスクの上昇に関連していることが明らかになった。

 女性では1日に5~14.9gのアルコール摂取を続けていると、乳がんの発症リスクが1.13倍に上昇することが判明した。

 軽度から中程度の飲酒とは、女性なら15gのアルコール、男性なら30gのアルコールの摂取をさす。350mLの缶ビール1本におよそ14gのアルコールが含まれる。

 「アルコール関連のがんについて、男性では喫煙している人でリスクの上昇がみられましたが、女性では喫煙経験がなくても、アルコールに関連して特に乳がんのリスクが上昇することが分かりました」と、同大学院栄養学部のイン チァオ氏は言う。

 少量の飲酒は心筋梗塞や2型糖尿病などの発症を減らすという研究が過去に発表されており、「少しの飲酒は体に良いと考えられている。

 今回の調査結果は、女性の適正なアルコール節酒量について再考する材料を提供することになる可能性がある。

One or two drinks per day may boost risk of certain cancers(ハーバード公衆衛生大学院 2015年8月19日)
Light to moderate intake of alcohol, drinking patterns, and risk of cancer: results from two prospective US cohort studies(BMJ 2015年7月28日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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