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2015年10月09日

医師と患者のコミュニケーションが良好だと糖尿病治療はうまくいく

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医療の進歩
第51回欧州糖尿病学会(EASD 2015)
 ノボ ノルディスクは、患者と医師の間にコントロールに対する認識に差があるという理解が高まれば、両者間でより良いコミュニケーションがとれ、糖尿病管理を改善できる可能性があるという研究結果を、ストックホルムで開催された第51回欧州糖尿病学会(EASD)年次学術集会で発表した。
糖尿病患者は医師の予想以上に多くの障壁を感じている
 「コントロールに対する認識」(Perceptions of Control: POC)研究から得られた新たな知見では、基礎インスリンによる治療でコントロールが得られていない成人の2型糖尿病患者は、医師が想定する以上に、コントロールの定義が広く、コントロール維持に多くの障壁を感じ、また生活に大きな影響を受けていることが示された。

 「医師と患者のコントロールに対する認識には、定義、障壁、そして基礎インスリンによる治療でコントロールが得られないことによる患者の日常生活への影響といった点に大きな隔たりがある。診察の際に、よりオープンな対話をすることで、こうした重要な点についてより深い理解が得られ、糖尿病の管理を改善し、一人ひとりにより効果的な治療計画を行うことが可能になる」と、POC研究を主導したメリル ブロド氏は述べている。

 今回の研究結果から、コントロールの定義について、医師は低血糖の頻度・重症度(医師93% vs 患者69%)、合併症(同89% vs 同75%)、HbA1c(同85% vs 同79%)といった測定可能な臨床用語で定義し、基礎インスリンによる治療でコントロールが得られていない2型糖尿病の患者にとってもこれらは重要であるものの、患者はコントロールをより広く定義していることが示された。

 例えば、1日のインスリン投与量(単位)(医師29% vs 患者78%)、摂取エネルギー量(同33% vs 同75%)、そして、自身の病気についてどれだけ考えなくてはならないか(同31% vs 同68%)などで認識の差がみられた。

 基礎インスリンによる治療でコントロールが得られていない2型糖尿病の患者は、コントロールの達成に対し医師より多くの障壁を感じており、例えば、ストレス(医師54% vs 患者75%)、薬剤による副作用(同56% vs 同70%)、そして患者支援団体の不足(同11% vs 同56%)という結果が示された。

 基礎インスリンによる治療でコントロールが得られていないことによる影響、および、それがいかに生活に影響を与えるかについては、患者は医師が思う以上にその影響を大きく感じていることが示された。例えば、機嫌・感情(医師33% vs 患者63%)、予定を立てること(同16% vs 同62%)、その日にどれだけのことを達成したか(23% vs 62%)などで有意な差がみられた。

 POCの研究は、英国(医師100名、患者620名)、スウェーデン(同100名、同240名)、そしてスイス(同100名、同152名)の医師300名および基礎インスリンでコントロールが得られていない成人の2型糖尿病患者1,012名に対するウェブ調査から収集された情報に基づいて行われた。

 また、対照群として、基礎インスリンによってコントロールが得られている(HbA1c7.5%未満)英国の成人2型糖尿病患者295名からも情報が収集された。合計で、1,607名の患者と医師からデータが収集され解析された。

糖尿病の治療では患者が主役
 治療をうまく進める鍵となるのは、患者と医療者が強い人間的な信頼関係を築くこと。糖尿病の治療では患者が主役であり、患者の自主性を支えながら治療につなげていこうという考え方が主流になりつつある。

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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