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2016年02月16日

新時代を迎えたインスリン療法 より良い血糖コントロールを目指して

東京女子医科大学糖尿病センター「Diabetes News No.151」
 東京女子医科大学糖尿病センターは1985年より四半期毎に「Diabetes News」を発行しています。血糖コントロール、高脂血症・肥満、腎症、神経障害、フットケア、小児・ヤング糖尿病、妊娠など多岐に及ぶテーマを取り上げています。
Diabetes News No.151 2016年2月15日発行

「インスリン維新」ふたたび?!
東京女子医科大学糖尿病センターセンター長 内潟安子 先生
 インスリン製剤は進歩を続けています。持続時間が24時間を超える持効型溶解インスリン製剤を治療に使えるようになり、作用開始がより速い超速効型インスリン製剤の開発も進められています。低血糖が起きる頻度はより少なくなり、より良好な血糖コントロールを実現できるようになっています。2型糖尿病の治療に使用するGLP-1受容体作動薬も週1回の注射で効果を得られるタイプが登場しています。
 「インスリン維新」ともいえる時代を迎え、より良い糖尿病治療が現実的になってきました。医療の進歩をより多くの患者さんに享受して欲しいと思います・・・

フリッカー網膜電位計レチバルとは?
東京女子医科大学糖尿病眼科 視能訓練士 福尾元伸 先生
東京女子医科大学糖尿病眼科 教授 北野滋彦 先生
 糖尿病網膜症をより簡便・迅速に発見し、早期治療につなげる検査法が開発されました。「網膜電図(ERG)検査」は、心電図のように電位変化を記録して、その波形から網膜の働きが正常かどうかを調べる方法です。普及しているERG装置は、LEDによる光刺激装置が組み込まれているコンタクトレンズ型の電極を用い、網膜全体から発生する電位を記録します。
 在宅診療や眼科医の不在な診療の場においても、より簡便に糖尿病網膜症の検査ができる方法として期待されています。糖尿病患者さんを診療する医療者は、「網膜症がない」あるいは「軽症」であることを目指し、治療計画を立てています。早期発見につながる新しい検査法が開発されたことは、糖尿病患者さんだけでなく、医療者にとっても心強い朗報です。・・・

明らかにされた朝食摂取の効果
東京女子医科大学糖尿病センター 医療練士 志村香奈子 先生
東京女子医科大学糖尿病センター 講師 三浦順之助 先生
 2型糖尿病患者が朝食を抜くと、血糖コントロールが悪化しやすいという研究が最近報告されました。朝食をたべる習慣がある2型糖尿病患者さんを対象に、朝食を食べた日と、朝食抜きの(欠食)日の日内変動を比較したものです。
 朝食欠食日は、朝食を食べた日と比較して昼・夕の食事カロリーは同一にも拘わらず昼食後・夕食後の血糖上昇が大きく、インスリン分泌も遅延・低下することが明らかになりました。また、グルカゴンと遊離脂肪酸(FFA)は上昇し、GLP-1も低下しました。
 2型糖尿病患者さんが朝食を欠食すると、食後血糖への影響は夕食後まで長時間に及ぶことがはじめて分かりました。朝食を抜く習慣は血糖変動の概日リズムの乱れにもつながります。1日3食を規則正しく摂取する習慣を小児期から身に付けることが大切です。・・・

東京女子医科大学糖尿病センター
  Diabetes News No.151
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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