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「神経障害性疼痛」を解明 痛みを抑える画期的な治療につながる成果
2016年11月29日
カテゴリー:  医療の進歩 糖尿病合併症 

 神経障害性の疼痛(痛み)の原因となるタンパク質を発見し、痛みが増幅されるメカニズムを解明したと大阪大学の研究チームが発表した。痛みを抑える画期的な治療法の開発につながる成果だという。
痛みが引き起こされるメカニズムを解明
 「神経障害性疼痛」は、糖尿病や脳卒中などの疾患が原因で起こる、治療が難しい慢性の痛みや痺れ。国内の患者数は2,000万人と推定されており、治療をしても痛みやしびれが治まらないことが多く、痛みを解消できたと感じる患者は4分の1にとどまるという調査結果がある。

 大阪大学の研究チームが、中枢神経で痛みが引き起こされるメカニズムを解明したと発表した。今回の発見により、効果的な治療薬を作れるようになる可能性がある。

 研究は、大阪大学大学院医学系研究科分子神経科学の山下俊英教授、早野泰史元特任助教らの研究チームによるもの。
痛みを増幅するタンパク質を特定
 「介在神経」は脊髄にある神経で、末梢神経から痛みの情報を受け取り、他の神経に伝達をする役割を担う。

 皮膚や内臓からの感覚の信号は、末梢神経を伝わって脊髄に到達する。この信号が「脊髄後角」で変換され、二次痛覚神経を伝って脳に伝わることで、痛みとして感じるようになる。

 神経障害性疼痛は、この脊髄後角の神経が異常に興奮することで起こると考えられている。

 山下教授らの研究グループは、痛みのシグナルの伝達したり中継する重要な役割を担う脊髄後角での介在神経の働きに着目した。

 脳は多くの神経細胞でできており、体中の神経細胞から伸びている軸索が他の神経細胞と結びついて回路をかたちづくっている。この軸索を誘導するのが、「ネトリン」と呼ばれるタンパク質。

 研究チームは過去の研究で、ネトリンには神経回路を形成する働きがあり、疼痛とも深く関わっていることを明らかにした。そして今回の研究で、脊髄内でつくられる「ネトリン4」が、介在神経で特異的にあらわれることを発見した。
「神経障害性疼痛」の治療法の開発につながる成果
 研究チームは、ラットを使った実験で、ネトリン4ができないようようにすると、神経障害による痛みの症状が出ないことを確認した。

 さらに神経障害性疼痛などをを発症したラットで、ネトリン4の働きを抑制する抗体や発現を抑える核酸を投与すると、強力な鎮痛効果を得られ、痛みが長時間抑えられることが分かった。

 ネトリン4の発現を抑制する新たな薬を作れば、従来の治療では治せない慢性疼痛を抑えられるようになる可能性がある。

 糖尿病神経障害や脳卒中などが原因で起こる「慢性の痛み」に、日本では14〜23%、2,000万人近くが悩まされている。世界では15億人以上が苦しめられているという報告があり、米国では痛みによる経済的損失が9兆円に上るなど、大きな社会問題になっている。

 「研究の成果をもとに高い有効性と安全性を両立させた画期的な疼痛治療薬の開発につなげたい」と、山下教授は述べている。

 研究成果は、米国の科学誌「The Journal of Experimental Medicine」のオンライン版に発表された。

大阪大学大学院医学系研究科分子神経科学
[ Terahata ]
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