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1型糖尿病患者は全て眼科検診を年1回受けるべきか?
2017年04月19日
カテゴリー: ヘルスデー 

 1型糖尿病患者は糖尿病網膜症などの失明につながる合併症リスクが高いことから、米国の診療ガイドラインでは診断されてから3〜5年以内に年1回の眼科検診を始めることが推奨されている。しかし、この推奨に従って全ての1型糖尿病患者で眼科検診を行うことは費用が余計にかかる上に効果的ではないことが、新しい研究で示された。

 研究を主導した米マサチューセッツ総合病院(ボストン)糖尿病センター/臨床研究センター長のDavid Nathan氏によると、例えば、血糖コントロールが良好で網膜に異常が検出されない低リスクの患者では眼科検診は4年ごとで済み、一方で、血糖コントロールが不良かつ糖尿病網膜症が検出された患者では3カ月ごとなど頻繁な眼科検診が必要とされるなど、検診の受診間隔は全ての患者で一律ではないという。

 同氏らは、現行の診療ガイドラインで推奨されている眼科検診の妥当性を検証するため、1983〜1989年のDCCT研究(Diabetes Control and Complications Trial)と追跡観察したEDIC研究(Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications)に参加した13〜39歳の1型糖尿病患者約1,400人が、30年間の追跡期間中に受診した眼科検診2万4,000件の網膜の断層画像データを解析した。なお、網膜画像の撮影は1993年までは6カ月ごと、その後の追跡研究中は2012年まで4年ごとに行われた。

 検討の結果、平均HbA1c値が6%で糖尿病網膜症の徴候がない場合は眼科検診の頻度を4年ごとに、糖尿病網膜症が早期の場合は3年ごとに減らせる一方で、糖尿病網膜症が中等症〜重症に進行した患者では3〜6カ月ごとに間隔を狭める必要性が示された。また、HbA1c値が平均で8〜10%の高値を示す患者では、より頻繁に検診を受ける必要があるという。

 同氏らは、この新しい推奨に従うと1型糖尿病患者の眼科検診にかかる費用は20年間で半減し、約10億ドル(約1100億円)の節約につながると試算しており、また、糖尿病網膜症のリスクが高い患者に対してより積極的な治療を早期に始められるとしている。

 この知見は、「New England Journal of Medicine」4月20日号に掲載された。

 米国糖尿病協会(ADA)のCourtney Cochran氏は、今年2月に改訂されたADAの糖尿病網膜症に関するガイドラインの中で、1型糖尿病と診断後5年以内に年1回の眼科検診を開始することを推奨すると同時に、過去1〜2年間で糖尿病網膜症の徴候がみられない場合には検診の頻度を下げることを考慮しても良いと明示していることを指摘。しかし、「軽症のレベルでも糖尿病網膜症がいったん検出されたら、年1回の眼科検診は必ず受けるべきだ。糖尿病網膜症が進行した状態であればより頻繁な検査が必要になる」と強調している。

 付随論説を執筆した米アルベルト・アインシュタイン医学校(ニューヨーク市)准教授のJamie Rosenberg氏は、新しい推奨による眼科検診は費用の削減に加えて、医師と患者双方の時間の節約にもつながるとしつつ、「検診スケジュールを個別化すると患者の追跡が難しくなる可能性があるが、この課題を克服すればこうした眼科検診の有用性は高いかもしれない」とコメントしている。

Is Annual Eye Exam a Must for People With Type 1 Diabetes?

[2017年4月19日/HealthDayNews] Copyright© 2017 HealthDay. All rights reserved.

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