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1型糖尿病の発症を防ぐワクチンの開発に着手 臨床試験を開始
2017年07月28日

 1型糖尿病を引き起こすウイルスを抑えるワクチンの開発に成功したと、フィンランドのタンペレ大学が発表した。早ければ来年からヒトを対象とした臨床試験を始めるという。
1型糖尿病の発症を防ぐワクチンの開発に成功
 膵臓組織に出現したエンテロウイルス(画像では茶色で表示)。このウイルスが自己免疫系によるβ細胞の破壊を誘導し、1型糖尿病の発症を引き起こす。研究チームはワクチンを開発し、マウスを使った実験で1型糖尿病の発症を防ぐのに成功した。ヒトを対象とした臨床試験の準備が進められている。
 自己免疫疾患である1型糖尿病では、患者自身の免疫系が誤ってインスリンを産生する膵臓のβ細胞を破壊することで引き起こされる。2型糖尿病と異なり、生活習慣や肥満などとは関係なく発症するのが特徴だ。

 世界糖尿病連合(IDF)によると、世界の小児1型糖尿病(0~14歳)の患者数は54万人を超える。毎年、8万6,000人の子供が1型糖尿病を発症しており、発症数は毎年3%ずつ増加している。

 ある種のウイルス感染が1型糖尿病の発症において大きな役割を果たすことが分かっており、このほどフィンランドのタンペレ大学の研究チームは、約25年間の研究によって、疾患を誘発するウイルスをほぼ特定したと発表した。ワクチンの試作品も開発しており、ヒトを対象とした臨床試験を2018年に開始することを目標に開発を続けている。
エンテロウイルスが1型糖尿病の発症に関連
 いくつかの研究で「エンテロウイルス」の感染が、1型糖尿病の発症を有意に増加させることが示されている。エンテロウイルスはごく一般的なウイルスで、通常は感染しても何の症状もない人が多いが、普通の風邪からポリオのような深刻なものまで、幅広い感染症を引き起こすことが知られている。

 タンペレ大学の研究では、1型糖尿病発症の徴候を示す小児では、そうでない児に比べて少なくとも1年以上前にエンテロウイルスに感染している確率が有意に高いことが確かめられた。

 膵臓のインスリン産生細胞に対する自己免疫プロセスが、エンテロウイルスによって誘導される可能性があるという。この自己免疫プロセスは、感染から数ヵ月後に開始され、ゆっくりと進行する発症メカニズムが関わっていると考えられている。

 タンペレ大学の研究チームはまず、ヒトの体内にある100種類以上のエンテロウイルス属型を調査し、1型糖尿病と関係しているとみられる6つのウイルスを特定した。さらに、もっとも発症リスクが高いエンテロウイルスを絞り、ワクチンの試作品を開発した。

 「マウスによる動物実験で、開発したワクチンの安全性と効果を確かめました。ヒトを対象とした臨床試験の準備も進めており、1型糖尿病のワクチンの開発は新たな段階に入っています」と、タンペレ大学ウイルス学部のハイキ ハイリ教授は言う。
ヒトを対象とした臨床試験も計画
 ヒトを対象とした第3相の臨床試験も計画している。まず開発したワクチンの安全性を成人の小さなグループで確かめ、次に小児を対象にエンテロウイルスに対するワクチンの安全性と有効性を検証する。

 続く第3相試験では、ワクチンが1型糖尿病の発症を抑制できるかを評価する。1型糖尿病の発症を一定期間抑えられるかを確かめなければならないので、臨床試験が終了するまでに8年間が必要となる見込みだ。

 エンテロウイルスの感染と1型糖尿病の発症の関連はすべてが解明されているわけではなく、エンテロウイルスのみが糖尿病発症の原因にはならないが、遺伝的に感染しやすい人ではその可能性が高いという。

 「1型糖尿病患者の少なくとも半数は、エンテロウイルス感染に関連したものと推測されます。ワクチンの開発に成功すれば、多くの子供の1型糖尿病発症を抑制できます」と、ハイリ教授は述べている。

 研究は、若年性糖尿病研究財団(JDRF)や、フィンランドの製薬企業などが資金提供して行われている。

A preventive vaccine for Type 1 Diabetes to be studied in humans for the first time(タンペレ大学 2017年7月18日)
[ Terahata ]
カテゴリー :1型糖尿病    医薬品/インスリン  医療の進歩  

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