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糖尿病3分間ラーニング
世界中で近視が急増 ウォーキングで自然光を浴びると近視対策に
2017年09月01日

 近視は世界的に増えている。背景にあるのは、スマートフォンやパソコンなどのデジタル デバイスが普及し、目を酷使する生活が多くの人で定着していることだ。
 屋外の自然光に含まれる「バイオレットライト」が、近視の進行を抑えるという研究が発表された。
2050年までに世界の半数の人が近視に
 2050年には世界人口の半数に当たる約50億人が近視になり、そのうち約10億人は失明リスクがあるという予測をオーストラリアのブライアン ホールデン視覚研究所が発表した。

 同研究所の推計によると、2000年時点では世界人口の22.9%に当たる約14億人が近視で、うち約1億6,000万人が強度の近視だという。強度近視は失明の主要な原因で、2000年から2050年にかけて7倍に増加すると予測している。

 近視は今後も増加し続け、2050年には世界人口の49.8%に当たる約47億6,000万人が近視となり、約9億4,000万人が強度近視になる。

 同研究所では対策として、▽眼科検査を定期的に受けること、▽子どもの眼科診断を徹底させること、▽メガネやコンタクトレンズなど視力を矯正する手段へのアクセスを改善すること、▽運動不足を解消し、屋外で過ごす時間を増やすことなどを挙げている。
近視の進行に「環境」が大きく関わっている
 糖尿病の人では、視力が低下したり、メガネが合わないなどの不安を抱く場合が少なくない。高血糖の状態が続くと、目の水晶体(レンズ)の屈折に異常が起こり、近視になりやすいことが知られている。

 米国眼科学学会によると、糖尿病の人の近視の症状は、血糖値の変動が原因である可能性がある。糖尿病によって引き起こされる眼の合併症は糖尿病網膜症が代表的だが、その他にも白内障や緑内障、屈折障害のほか視神経の障害などさまざまなものがある。主治医に眼科医を紹介してもらい、目を定期的にチェックしてもらうことが大切だ。

 近視のほとんどは眼球が前後に伸びてしまうことが原因で起こる。近視になると後ろに伸びた分、網膜で合わせるはずのピントが前にずれて、遠くのものが見えにくくなる。

 子どもは、体が成長期ということもあり近視が進みやすい側面があるが、人によって近視は一生かけて進行する場合がある。

 近視になる原因は大きく「遺伝」と「環境」の2つがある。このうち注目されているのは環境の影響だ。

 テレビやゲームを近くで見る、スマートフォン、パソコン画面、本を近くで見て作業する生活行動を「近業」といい、近年は子どもだけでなく、大人の生活行動でも定着している。
屋外で自然光を浴びると近視を抑えやすい
 世界的に近視人口が増加しているのは、外にいるときにしか浴びることのできない「バイオレットライト」が不足しているためだ――慶應義塾大学医学部眼科学教室の坪田一男教授らの研究で、近視の環境因子の一端が明らかになった。

 特定の波長の光が健康に影響を与えるといえば「ブルーライト」(波長が380〜500ナノメートル)を思い浮かべる人が多いだろう。目への負担だけでなく、不眠やうつ、高血圧、肥満などのリスクなどを高めると話題になっている。

 「バイオレットライト」(360〜400ナノメートル)は、それより波長が短く、屋外の環境光にのみ含まれる光だ。

 坪田教授がバイオレットライトに注目したきっかけは、高度近視の治療として眼内レンズ(水晶体の代わりに目の中に挿入するレンズ)を入れた患者の中で、近視の進行度に差が出ることがあることだという。

 研究チームは、近視のヒヨコを使った実験で、バイオレットライトを浴びたヒヨコでは、近視の進行を抑える遺伝子の数値が上昇していることを確認した。
屋外に出てウォーキングをすると効果的
 また、ヒトを対象とした臨床研究からも、バイオレット光を透過するコンタクトレンズを着用している人の方が、透過しないコンタクトレンズやメガネを着用している人よりも眼軸の伸び(近視の進行)が抑制されていることや、メガネを装着していると近視が進行することが判明した。

 「1日2時間以上、外で遊んでいる子どもは、両親が近視でも近視になりにくいことが知られています。屋外光にのみ含まれるバイオレット光を浴びている時間の違いだったと考えると説明ができます」と、研究者は述べている。

 さらに、日常的に使用しているLEDや蛍光灯などの照明には、バイオレットライトがほとんど含まれておらず、メガネやガラスなどの材質もバイオレットライトをほとんど通さないことが分かった。

 バイオレットライトを十分に浴びるためには、日中に屋外に出て、ウォーキングなどで体を動かすことが効果的だという。平日に屋外で活動するのが難しいという人も、週末はなるべく屋外で運動をすることが勧められる。
目に合ったメガネやコンタクトレンズを
 視力を低下させないために必要なことは、屋外での活動を増やすことに加え、近業の時間を短くすること、適切な眼鏡やコンタクトレンズを使用することだ。

 目のレンズの焦点が合わず、ボヤけたものを見続けていると眼球が伸びてしまうことが実験で確かめられている。

 見えにくいのでれば、検査を受けて適切な視力を把握してメガネやコンタクトレンズを使用することが大切だ。

 注意しなければならないのは、実際の視力に合わせて理想的に調整したメガネやコンタクトレンズを使用していても、歳をとって目の調節力が少しずつ落ちてきてピントが合わない状態になり、疲れ目になることだ。
目をリラックスさせ、明るい場所で作業することが大切
 近視の多くはメガネやコンタクトレンズを作成するときに、遠くがよく見えるように作っている。

 そのようなメガネやコンタクトレンズを用いて、読書をしたり事務作業をしている人の多くで、眼精疲労が生じている。

 眼精疲労に関係する目の筋肉には内直筋と、水晶体の厚みを変えるときに使われる毛様体筋がある。毛様体筋の疲労の原因のひとつは「長時間の手元の作業」、もうひとつは「暗いところでの手元の作業」だ。

 作業が1〜2時間以上も続く場合は、途中で遠くの景色を見たり、首の運動や背伸びなどをして、毛様体筋をリラックスさせると眼精疲労を防ぐことができる。

 暗い所でデスクワークなどをすると、瞳孔は多くの光を取り入れようと大きくなるためピントを合わせにくくなり、毛様体筋に通常以上に負担がかかり、眼精疲労が起こりやすくなる。

 デスクワークなどの作業をするときは、ときおり休憩を挟み目の筋肉をリラックスさせることと、明るい所で行うことが大切だ。

Half the world to be short-sighted by 2050(ブライアン ホールデン視覚研究所 2016年2月12日)
慶應義塾大学医学部眼科学教室
目についての健康情報(日本眼科医会)
[ Terahata ]

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