ニュース

2018年11月08日

チョコレートが閉経後女性の糖尿病を改善? インスリン抵抗性が改善

 カカオポリフェノールを継続して摂取すると、閉経後の女性で、インスリン抵抗性、血圧、悪玉コレステロールが改善するという研究結果を、東京医科大学と明治の研究グループが発表した。閉経後の女性でとくにリスクが高まる高血糖、高血圧、高コレステロールを予防する可能性があるという。
カカオポリフェノールを毎日4週間摂取
 試験は、血糖値が高めで(HbA1cが5.8〜6.5%)、BMIが18.5〜27.5の、45歳以上69歳以下の男女が参加した、プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験として行われた。

 参加者をランダムに2グループに分け、1つの群にはカカオポリフェノール抽出物83mgを含むタブレットを、他方の群には対照食品としてカカオポリフェノール非配合のタブレットを、それぞれ毎日4週間継続摂取してもらった。さらに2週間の非摂取期間を空けた後、被験食品と対照食品を入れ替えて、同様に4週間継続摂取してもらった。
カカオポリフェノールが閉経後女性の「3高リスク」を防ぐ
 その結果、参加者全体では有意な差は認められなかったものの、閉経後の女性のみで、カカオポリフェノール摂取群では以下の変化が確認された。

(1)血中のインスリン濃度と血糖値がともに高い場合は、インスリン抵抗性が疑われる。今回の研究では、カカオポリフェノールの摂取前後で、空腹時インスリン濃度が低下する傾向がみられた。
 また、カカオポリフェノールの摂取前後で、インスリン抵抗性の程度を示すHOMA-IRという指数が低下する傾向がみられた。
 これらより、インスリン抵抗性が改善する可能性が示唆された。

(2)カカオポリフェノールの摂取前後で、最高血圧・最低血圧が有意に低下した。

(3)カカオポリフェノールの摂取前後で、悪玉コレステロールとされるLDL-コレステロールが有意に低下した。

 閉経後は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌低下により、高血糖、高血圧、高コレステロールの3つのリスクが高まる。この「閉経後女性の3高リスク」の悪化を防ぐには、食事や運動といった生活習慣の改善が重要だが、今回の研究によりカカオポリフェノールの継続摂取が一助となる可能性が示された。
カカオポリフェノール摂取による空腹時インスリン濃度の変化 HOMA-IRの変化
チョコレートは間食として食べることが多い
 ただし、市販されているチョコレート製品の多くは高糖質で高脂質だ。一般的なミルクチョコレート50gのカロリーは279kcalで、脂質は17.4g、炭水化物は27.7g(うち糖質が25.9g)がそれぞれ含まれる。さらにカカオ豆自体には、利尿作用や興奮作用のあるテオブロミンやカフェインも含まれる。

 さらにチョコレートは間食として食べられることが多く、日常の食事にそのままプラスされてしまう。「食事バランスガイド」では、菓子・嗜好飲料などから摂取するエネルギーは200kcal以内を目安に摂り過ぎないよう推奨している。

 最近は低糖質のチョコレートや、カカオの含有量を高めた「高カカオチョコレート」なども市場に出ているが、食べ過ぎにはくれぐれも注意したい。
カカオポリフェノールとカカオプロテインの健康効果
 明治によると、チョコレートの材料であるカカオ豆に含まれるカカオポリフェノールやカカオプロテインには、▼血圧低下、▼動脈硬化予防、▼美容効果、▼アレルギーの改善、▼脳の活性化、▼便通改善など、さまざまな健康効果がある。

 ポリフェノールを自然食品から摂取するのは意外に難しい。100g中に含まれるポリフェノール量は、リンゴが100mg、赤ワインが180mg、コーヒー89.5mgなのに対して、ダークチョコレートは840mgと高容量だ。

 また、チョコレートに含まれる難消化性のカカオプロテインは、小腸で消化吸収されず、大腸に届き、便の基材となってかさを増すことで、腸内フローラを変化させ、整腸作用を及ぼすという。チョコレートには、ポリフェノール以外にもマグネシウムや鉄、亜鉛などの必須ミネラル類も含まれる。

みんなの健康チョコライフ(明治)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲