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2019年03月20日

糖尿病リスクはBMI22以上から上昇 若い頃からの体重コントロールが重要

 青年期のBMIが22以上あると将来の糖尿病の発症リスクが高まることが、順天堂大学の研究グループの調査で明らかになった。
 「糖尿病を予防するために、青年期からの体重管理が重要。予防医学を推進するために、適正体重の維持が重要であることをもっと啓発するべき」と、研究者は述べている。
日本の糖尿病患者の平均BMIは23
 体格指数(BMI)は、その人がどれくらい痩せているか、太っているかを示す指数で、体重と身長から算出される。日本では18.5未満がやせ、18.5〜25が普通体重、25以上が肥満と判定される。

 従来は2型糖尿病のリスクが高まるのはBMI25以上とされていたが、順天堂大学の研究グループの調査で、青年期のBMIが22以上あると将来の糖尿病発症リスクが高まることが明らかになった。

 近年、日本人をはじめとするアジア人の糖尿病患者数の急激な増加が問題となっている。そして、最近の日本人の糖尿病患者の平均BMIは23程度であり、肥満とされるBMI25以上でなくても、2型糖尿病を発症しやすいと考えられている。

 欧米では、小児や若年期における肥満が、将来の糖尿病発症リスクを高めていると報告されているが、日本人における青年期の体格と、将来の糖尿病発症リスクとの関連についてはよく分かっていなかった。

 そこで、研究グループは、青年期の体格とその後の糖尿病発症リスクとの関連を明らかにするために、大学の卒業生を対象とした追跡調査研究に着手した。

 研究は、順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンターの染谷由希特任助教と、同大学スポーツ健康科学部・体力体格累加測定研究グループによるもの。詳細は学術誌「PLOS ONE」に掲載された。

関連情報
BMIが増加するにつれ糖尿病の発症率は上昇
 順天堂大学が進めている「体力体格累加測定研究(J-Fit+ Study)」は、順天堂大学体育学部(現スポーツ健康科学部)で、1969年より実施されている体力体格累加測定のデータを用いた研究プロジェクト。

 この研究の一環として、卒業生を対象とした調査研究を実施。男性661人(平均55歳)に、卒業以降の糖尿病の有無および糖尿病と診断された年齢を聴取した。また、同大学が50年以上にわたり蓄積した体格や体力のデータから、在学時のBMIを算出し、卒業から糖尿病発症または調査研究までを追跡期間(27〜36年)としたコホート研究を実施した。

 大学在学時(平均22歳)のBMIを4つの群(BMI21.0未満、21.0〜22.0、22.0〜23.0、23.0以上)に区分し、各群での糖尿病発症率を比較したところ、BMIが増加するにつれ発症率が上昇することが分かった(各群4.4%、7.6%、10.5%、11.3%)。

 さらに、糖尿病の発症リスクはBMI22.0〜23.0から上昇しており、さらに、青年期である20歳代前半のBMIが22以上の場合に将来の発症リスクが高くなることが明らかになった。
わずかな体重増加が糖尿病の発症と関連
 これまでに、日本人は欧米人と比較して、同じBMIであっても脂肪を皮下脂肪として蓄えられない、脂肪肝になりやすいといった脂肪分布の異常や、インスリン分泌が低いことが分かっている。こうしたことから、「青年期のごくわずかなBMI上昇が、その後の2型糖尿病の発症と関連すると推測される」と研究者は結論している。

 体重の増加は、2型糖尿病だけでなく、脂質異常症や心血管疾患などさまざまな疾患にも結びつく。中高年期だけでなく、青年期からの早期の体重管理が重要だ。

 「ただ体重を減らすのではなく、適切な運動や食事に心がけ、筋肉量を維持することも肝心。そのためにも、体重の測定だけでなく、身長や体脂肪率も測定するなどして、体格を管理することが重要となる」と、研究グループは指摘している。

 ただし、青年期のBMIと糖尿病発症との直接的な関連については不明な部分もある。研究グループは「今後は青年期の体脂肪率や腹囲などの指標を用いて、さらなる検証を進めていく」としている。

順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンター
順天堂大学体力体格累加測定研究
A body mass index over 22 kg/square meter at college age is a risk factor for future diabetes in Japanese men(PLOS ONE 2019年1月24日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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