1. 男の人生の活力と性
2006年5月
F. 加齢による生理的変化
a. 男性ホルモンの加齢性変化はバラツキが多い
さて、生殖年代を終えた更年期から熟年期にいる中高年の男性は、加齢により当然のことながら、その三つの本能、またそれを支えている各種生理機能にそれ相応のかげりが生じてくることは避けられないわけです。
ただ問題なのは、加齢により徐々に生理機能が低下していくだけでなく、図19に示すように、人間 生き物が生殖を最大の使命として、この世に生まれた任務を果たすために、性ホルモンが思春期から更年期まで与えられているのですが、生殖年代を終えると、図のように下降していく。女性は図20のように、その下降はかなり急ですが、男性では、必ずしも女性に見られるような比較的一様な急な下降でなく、図21のようにかなりバラツキの幅の大きい下降をしているのです。
図19

図20

図21

この下降の違いが更年期症状の発現頻度や症状内容分布の男女差になっているわけですが、このような男性ホルモンの変動と加齢による全身的生理的変化とが折り重なって、いろいろな体調変化、ことにここで問題にしている性機能の変化が現れてくるのです。
男性の性機能を司る性中枢機能は血中男性ホルモン・テストステロン濃度につよく依存していますので、先に説明している男性機能のシンボルである夜間睡眠時勃起現象も、そのテストステロンの低下変動に連れて減退していきます。先に示した図11が、その間の事情を反映して、早朝勃起自覚頻度が大きくバラツキながら徐々に低下していくのを示しております。この早朝勃起自覚率の低下にかなり個人によるバラツキが多いことが注目されます。
図11

このバラツキの多い加齢問題にどのように内分泌学的医学対処があるかについては、後章で詳しく議論させていただきます。ただ問題は、更年期の男性には、ちょうど年齢的に管理職的立場にあってさらされている強い心理的ストレスによる引き起こされているため、それにより情緒中枢さらに性ホルモン分泌管理中枢なども変調し、それによる男性ホルモン低下に加えて、心身症的諸症状などの、Mid-life crisis(中年の危機)と言われる状態に追い込まれ、つらい思いに悩まされることが少なくありません。