糖尿病臨床栄養1・2・3
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糖尿病3分間ラーニング

1. 食後の過血糖と食事にかける時間

本田 佳子(女子栄養大学栄養学部教授)
2006年06月

 一般に食事にかける時間はどのくらいかかるのでしょうか。関西が主流のかけうどんは“アツアツをツルツルすすって食べる”このとき85℃以上が美味とのこと。気温にもよりますが、一人前のかけうどんを3分以内に食べないと温度は85℃より下がってしまいます。美味しさを追求した食べる時間です。

 糖尿病では食べる時間が異なるのでしょうか。

 入院中の糖尿病患者さんの食事にかける時間を調べました。食事摂取の所要時間は5分程度でした。なかには「○○○士官学校で、食事を早く食べるようにとの教育を受けた。」と、3分と要しない方もおられました。

 一方、30歳台の女性に同様の食事内容での食事摂取の所要時間は9分程度でした。

 2型糖尿病では、“ゆっくり・よく噛み”食後の高血糖を是正することが求められます。

 ここ数年、糖尿病の合併症で急激に増加している心血管障害への対応に食後高血糖の是正の必要性が議論されています。薬物療法では、食後の過血糖の改善にα-グルコシダーゼが処方されます。α-グルコシダーゼは糖質の消化・吸収を遅延させ食後の過血糖を改善する効果が得られますが、副作用に腹部膨満や放屁増加などがあり、女性や接客の多い方には、処方の適否が苦慮されます。

 一方、栄養・食事療法による食後高血糖反応への修飾因子には、総エネルギー量、エネルギー構成比率、食物繊維、栄養機能成分などの栄養素成分、そして、胃内停滞時間、食物の形態・硬さ、栄養素成分の希釈、食事時刻、食事所要時間、噛む回数などがあげられます。

 “噛む”ことは、食事摂取に際し、無意識に行う食行為ですが、意識して、“噛む回数を増やし”食べることに要する食事所要時間も調整できます。食後高血糖の是正に際し、食事所要時間、噛む回数の双方を修飾する、“ゆっくり・よく噛む”食べ方の行為の修正は、食後過血糖のケースに求められます。

食事にかける時間は、

(1) 「一回に口に運ぶ食物(一口)の回数」 × (2) 「噛む回数」
で決まります。そして、
(1) 「一回に口に運ぶ食物(一口)の回数」は食物の重量や食物の嵩に、
(2) 「噛む回数」は食物の硬さ(食物繊維/料理方法)
に影響されます。

 食事量が同量であっても一口の量を少なくし、口に運ぶ回数を増やし、重量より嵩のある食物や料理方法にすると(1)「一回に口に運ぶ食物(一口)の回数」が増えます。

 同様に、よく噛まなければ食道・胃へと送り込みにくい食物や料理方法によって、(2)「噛む回数」を増やすことができます。

 そして、食事にかける時間を長くすることができます。

 つまり、食後の過血糖の是正には、エネルギー量が少なく、嵩があり、噛むことにより砕ける適度な硬さのある食物をどのくらい食事にとりいれられるか、嵩や噛むことを妨げない料理で、いかに食事にかける時間を長くするかが、キーポイントとなります。

©2006 本田 佳子

2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した
「NGSP値」で表わされるようになりました。過去の記事はこの変更に未対応の部分があります。

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