糖尿病臨床栄養1・2・3
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糖尿病3分間ラーニング

4. 患者さんが頻発する質問から
食事療法の実践法を考える

本田 佳子(女子栄養大学栄養学部教授)
2006年11月

 患者さん自身は 「どのような時に、どのようなもの」を食べたいと欲求し、自らを制するのに苦慮しているのか。患者さんが頻発する質問を列挙し、その対応について述べたい。

Q1. おやつに、菓子を食べたい

 食事療法の指導者の本音は、菓子などに多く含まれている砂糖は、吸収が早く血糖濃度をすばやく上昇させることや、菓子は手短で手軽に摂取できる食物で過剰エネルギーの原因となりやすい。

 血糖のコントロールが良好で、食事療法が厳守できている場合に、「表1」の食品を1単位(80kca相当)減らして食後のデザートに1単位での菓子の摂取としたい。

 しかし、多くの患者さんの本音は、お菓子を食べたいのである。そこで、患者さん自身に選択権を与え、次の方法から選んで、「自らが実行に挑む」のも一案ではないだろうか。

  • とにかく、1ヵ月間は食べないで我慢してみる
  • 1週間に一度、しかも1個程度(2単位以内)まで
  • 食事と食事の間には食べないで、食後に少量(0.5単位以内)
  • ヨーグルト(蔗糖入り:1単位)で代替する
  • 人工甘味料を用いた菓子(1単位以内)にする

Q2. 清涼飲料水を飲む習慣がやめられない

 さて、清涼飲料水がなぜいけないのかは、この連載の2回目に掲載しているが、平易な表現をすれば、食事療法が厳守されていても、暑い夏での清涼飲料水の多量摂飲が原因で、血糖コントロールが不良となる症例がみられる。

 理由は、清涼飲料水は1缶(350cc)80kcal〜160kcalのエネルギー量があり吸収も速い、しかも1日3本飲むと500kcalにも達するものもある。

 そこで、次のいずれかを勧める。

  • 水やミネラルウォーターで代替する
  • 炭酸水にレモンを入れて代替する
  • ウーロン茶、番茶、杜仲茶などのお茶類で代替する
  • エネルギー量を、0 kcalもしくは低く調整したローカロリーの清涼飲料水に変える
  • トマトジュース、野菜ジュースに変える

Q3. アルコールは、どうしても止められない

 栄養学的には、アルコールは、1gあたり7kcalと脂肪の9kcalに次いで高エネルギーであり、エネルギーの他の栄養素成分(非蒸留酒は糖質含有)はほとんど含有していない。

 また、アルコールは、肝グリコーゲン蓄積が少ない状態では糖新生を抑制し低血糖を起こす可能性がある。したがって、低血糖を起こしやすいインスリン療法者や、経口血糖効果薬を服用している者では禁止を原則とする。また、糖尿病神経障害のある人、血糖や脂質のコントロールが不良な人、そして肥満者も極力制限する。

 これらから除外される、標準体重と見なせる血糖コントロールが良好な非インスリン療法者は、過量のアルコール摂取を避け、食事時に食物と一緒に適量(エタノール換算で1日30ml以下)の飲酒を基本とする。

 実際的なアプローチで是非すすめたいのは、「2週間はとにかく禁酒する」ことである。2週間の禁酒により多くの場合は体調が良好になり、これを自覚できるとその後のアルコール指導の受け入れが容易となる

 これを受け入れなければ、次の選択肢のいずれかをすすめ、体重の変化、関連する検査データ−、血糖コントロールの状態などの経過を観察しながら、徐々に段階的に飲酒の適正化(最終ゴールは自発的な断酒)をはかる。

  • 揚げ物料理での油脂量を控え(表5を0.5単位までに止める)2単位までのアルコールを飲む
  • 食事と一緒に1日2単位までで止める
  • 1週間のうち飲酒は3回までで止める
  • 1回量を今までの半分にするかアルコール濃度の半分以下のものに替える
 以上、3つの頻発質問への対応を述べたが、食べたい・飲みたいという欲求について具体的に確認すると、必ずしも欲求があるのではなく代替行為の場合もある。

 清涼飲料水は喉が渇くので飲むものであったり、午後の退屈な時間を過ごすのに菓子を食べての気晴らしであったり、気分転換や社交で飲むアルコールであったりする。

 そんなことを知っておくのも、栄養指導あるいは食事療法を成功させる一要因になるかもしれない。

©2006 本田 佳子

2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した
「NGSP値」で表わされるようになりました。過去の記事はこの変更に未対応の部分があります。

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