糖尿病ネットワーク
足病変とフットケアの情報ファイル
はじめに

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足病変はなぜ怖い?

糖尿病があると動脈硬化が進みやすい

 糖尿病人口の増加、高齢者の増加に比例して合併症を発症する糖尿病患者さんが増えています。糖尿病の合併症といえば、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害が3大合併症として知られていますが、これらは高血糖により、細い血管が傷められることが大きな原因です。

 しかし、高血糖の影響は細い血管だけではなく、太い血管にも動脈硬化という形で現れます。動脈硬化が心臓の血管にできると狭心症や心筋梗塞、脳の血管にできると脳梗塞、そして足(下肢)の血管にできれば閉塞性動脈硬化症といった危険な状況を生み出します。しかし、脳梗塞や心筋梗塞はよく知られていますが、足(下肢)にできる閉塞性動脈硬化症はあまり知られていないのではないでしょうか。

足病変の原因は動脈硬化

動脈硬化は、血管の壁が硬く変化して血管が細くなり、血液が流れにくくなる病気です。血管内膜にコレステロールが蓄積されプラーク(粥腫)という塊を形成。血流が途絶えると、そこから先へは酸素や栄養が行き渡らず、細胞が活動できなくなり、ついには細胞が壊死します。

 まず、糖尿病神経障害が進むと足の感覚がにぶり、痛みや痒みを感じにくくなり、キズややけどにすぐ気づけなくなります。また、高血糖で身体の抵抗力が弱くなるために、細菌や真菌(水虫)などの感染症に対する抵抗力が低下し、キズの治りも遅くなります。このような状態を放置していると、潰瘍(かいよう)ができたり、足の形が変形したり、爪がボロボロになったりと、様々な足病変が起こります。

 閉塞性動脈硬化症は、足の血管が詰まり、初期はしびれや冷感、だるさや痛みなどの症状が現れますが、新鮮な血液が末端に届けられないためにキズが治らず、感染を起こし、潰瘍(かいよう)化。悪化すると壊疽(えそ)が起こり、足の切断にまで至るおそろしい病気です。

足病変の重症化で毎年1万人以上が下肢切断

 現在、糖尿病や維持透析などの原因による足病変の重症化で、下肢切断となる人は年間1万人以上と言われています。これは、膝下、膝上、あるいは股関節から下を切る大切断の人数ですので、足の指だけといった小切断数は入っていません。足を切断する人は毎年どんどん増えているのです。

 なかでも糖尿病の足壊疽(えそ)による大切断は、非外傷性の切断原因の第1位で、年間約3千人が足をなくしています。足を切断してしまうと寝たきりになる人が多く、1年生存率は透析患者で52%。5年になると約80%以上が死亡、透析を受けていない人でも5年で約6割が死亡するという報告(*1)もあります。

 透析治療は、糖尿病腎症の重症化が原疾患の第1位(38%)で、次に慢性糸球体腎炎透析患者さん(32%)。男性の方が女性の3倍多く、50代から増えはじめ、60代〜80代が多くを占めます(平均年齢67歳)。10年以上透析を行っている人は全体の約3割ですが、国の高齢化が進めばますます増加していく可能性があります。現在透析治療を受けている患者さんは31万4千人(平成26年現在(*2))で、毎年4万人近くが新規で透析導入しています。透析患者さんも足病変リスクが高く、透析歴が長くなると全身の動脈が石灰化して動脈の壁が石管のように硬くなってきます。詰まると血行再建は難しく、足の切断に至ってしまうケースが多いのです。

 しかし、足病変が起こらないよう正しい知識をもって日頃から足をケアしていれば、必要以上に恐れることはありません。動脈硬化も早期発見できれば、足の血管を拡張する治療法などによって、切断を回避することが可能になります。

ホットプレートで自分の足を焼いても気づかない……

 足病変は、ほんの些細なことから始まります。

 外的要因による足の潰瘍の発症原因は、なんと約7割が「靴ずれ」。次に、やけど(19%)、外傷(7%)、感染症(3%)が続きます。

小さなキズで、自分では大したことはないと思っていても、大事に至ることがあります。

 ——靴ずれを放置して、そこから化膿、潰瘍が進み、血管も詰まって(閉塞性動脈硬化症)、あれよあれよという間に足の切断を余儀なくされた方もおられます。その間、たった2週間だったとか。

また、神経障害で知覚が鈍り、痛みやかゆみ、熱さや冷たさなどが感じなくなることも。

 ——ひとり暮らしの男性が、床でホットプレートを使い焼き肉。お腹いっぱいになってその場でウトウト。ハッと目覚めたら、ホットプレートの上に足がのっかっていて、なんと足を焼いていた!足の感覚がにぶると、こんな事態でも気づかないことが実際あるのです。

知覚が鈍くなるだけでなく、感染しやすく、キズが治りにくくなることでは……。

 ——がびょうが足に刺さっても、足の裏を見ていなくてそのまま放置。お風呂に入っても足の指先まで洗っていなかったようです。1カ月後、なんか歩きにくいなと足の裏を見たら、大きな潰瘍が。潰瘍を切除し足先が半分なくなってしまった。

 このような症例を、外科系の医師は日常茶飯で経験しているそうです。

じぶんの足はじぶんで守る

 糖尿病の臨床現場では、毎回の診察時に、患者さんの足チェックをしているところが、実はあまり多くありません。

 制限された診察時間等の問題もありますが、積極的に足病変を見つけても対処できないという実情もあるようです。これは、足を専門的に診られる医師、医療機関との連携が進んでいないこと、症例によってどの科を紹介すべきか見極めるのが難しいことなど、様々な課題があります。

 しかし、医療者側のチェックや啓発はもちろん重要ですが、足の変化に最も気づけることができるのは、患者さん自身です。実際、足病変は患者さんやご家族が気づき、主治医に相談することが多いそうです。ただし、おかしいと感じるくらい悪くなっていたから気づいた、悪化例が大多数。足をきちんとケアしていれば悪くならなかったのに、、もっと早く受診していれば切らずに済んだのに、、という例が後をたちません。患者さん自身が正しい知識を持ち、日頃から足のチェックやケアを行うことが、たいへん重要なのです。

 私たちの寿命は長くなり、歳をとっても、仕事を続けたり、趣味を楽しんだり、歩いてどんどん外へ出て行く時代です。 いつまでも元気でいるために、足を大事に、見守ってください。

 当サイト「足病変とフットケアの情報ファイル」で、足についての様々な情報を得て、予防や改善にお役立ていただけたら幸いです。

絵で見て学ぼう!「足病変はなぜ怖い?」

 足病変の怖さが、わかりやすい絵本形式で学べる『絵で見て学ぼう!「足病変はなぜ怖い?」』も公開中です。ぜひ参考にしてください。

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(2014年11月)

Act Against Amputation
-なくそう、下肢切断-

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Faculty Member/Clinical Reporter
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