
日常診療で使える! 医療従事者向け資材コーナー
現在、AAAでは医療者と患者さんが足病情報を共有する「足病手帳」の企画・制作を検討しています。足病患者さんは、創傷、血行再建、糖尿病内科、透析、リハビリテーション、装具など様々な領域の専門外来を受診します。各々の領域から紹介状という形で診療情報を得ますが、患者さんの病態のヒストリーの中に診療情報が紛れてしまい、情報収集に難渋することがあります。そこで、患者さん自身が診療の歴史を確認するために、専門領域での治療経過を医療従事者が記載をし、患者さん自身がその情報を持つことで、曖昧な情報をなくして他の医療従事者へ治療をつなげることが可能になります。
例えば、両足のCLIの患者さんでは、いつ、どちらの足のどこの病変にどのような血行再建をしたのかが、不明確になることがあります。足病手帳を使用すれば、このようなことが明確になります。
将来的には、ICチップ等で患者さん自身が自分の病歴、診療情報を管理するようなシステムができるのかもしれませんが、まだまだ時間がかかるでしょう。それまでは、このような紙媒体の手帳形式が臨床現場では有用と考えます。
このような足病手帳の概念は、母子手帳のようなものを足病領域でできないか。というアイディアからきています。今回公開するシートは、東海大学の看護師の亀井真由美さんが作成されたものを改変し、杏林大学で使用しているものです。
患者さんごとにプリントし、情報記載の上、バインダー等に挟んで患者さんに持ち歩いてもらいます。創傷治療、創処置が変更になる度に記載を重ね、他の医療従事者に周知します。EVT、バイパスに関しては、足の血管のシェーマがありますので、そこで図示すれば、狭窄部位、CTOの部位、治療部位も一目でわかります。SPPやABIについても記載すれば、重複して計測することを防ぐことができます。
施設によって患者情報の取扱い方法は異なりますので、使用の際は貴施設長(病院長)へご確認ください。
(2017年08月)