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「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」(下肢救済加算)の基礎知識と実践 ▶

Part1. なぜ透析患者にフットケアが必要なの?

今、透析患者のフットケアが注目されています。その背景にあるのは、重症下肢虚血患者の増加と新しい医療制度の変革です。まずは、この2つの背景について解説いたします。

背景1. 重症下肢虚血患者の増加

重症下肢虚血(critical limb ischemia:CLI)は、末梢動脈疾患(peripheral arteral disease:PAD)が重症化した病態で、脳梗塞や心筋梗塞などの循環器系の虚血を合併する予後不良の疾患です。

背景に透析患者の高齢化、糖尿病性腎症から透析となる患者の増加があります。古くは閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans:ASO)と呼ばれていました。

この疾患は、初期には間歇性跛行を認め、虚血が進行すると安静時痛と足部に壊死を認めるようになります。早期発見、早期治療が重要で、手遅れになると大腿部や下腿部での切断となり歩行が困難になります。歩行困難になった結果、ADL(日常生活動作)が低下し、廃用性の筋力低下が起こります。いずれ寝たきりになり、透析クリニックへの通院も困難になります。

ですから早期にCLIを発見し、血行再建が可能な病院へ紹介し、歩行を維持していくことが重要です。近年では、透析患者の足を守る意識が少しずつ浸透し、透析クリニックでもフットケアを行う施設が増えています。

背景2. 医療制度の変革

さらに、平成28年度診療報酬改定において、すべての人工透析患者の足を透析クリニックが日頃からチェックし、重症度の高い虚血がみられる人をスクリーニングして下肢救済を行う専門病院へ紹介すると、算定が可能となる「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」(ここでは“下肢救済加算”と呼びます)が新設されました(厚生労働省:平成28年度診療報酬改定について)。

項 目:J038 人工腎臓
名 称:下肢末梢動脈疾患指導管理加算
点 数:100点

同様のフットケア関連の算定には「糖尿病合併症管理料」がありますが、こちらは処置を行ったことに対して算定するものです。今回の「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」は、虚血に対するスクリーニングと評価、そして専門機関との連携についての加算となります。

これにより今後、透析クリニックなどで足を観察する機会が増加することになりますが、実はどこに紹介するかという問題が残されています。さらに紹介後に透析クリニックへ戻ってきてからの処置や気をつけるべき点についての認知は、あまり高くないものと考えられます。CLIという病態が、一般の患者はもちろん医療従事者にもあまり知られていないからです。

次の章では、CLIとその治療方法、新制度導入後の透析クリニックでのCLIの評価やフットケアにふれていきましょう。

(2016年05月)

Act Against Amputation
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