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「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」(下肢救済加算)の基礎知識と実践 ▶

Part4. CLI・虚血の足と評価したその後は?

患者の足を観察・評価し、CLI、虚血と判断したら、どのような病院へ送ればよいのか。また、紹介された病院で患者はどのような治療を受け、クリニックに戻ってくるのでしょうか。ここではこれらについて解説し、そのとき看護師はどのような役割を担えばよいのかを紹介します。

病院への紹介、具体的にどうすればよい?

透析病院が足を救える 病院とは限らない!

“下肢救済加算”では、「患者の足を観察・評価し、CLI・虚血と判断したら下肢救済を行う病院へ紹介する」ことになっています。しかし、下肢救済を行う病院とはいったいどんなところなのでしょう。これは現在のところ、病院名や診療科名、施設基準で決めることは困難です。

透析導入病院と維持透析クリニックは、透析に関して連携が良く構築されていますが、透析導入病院が足を救える病院とは限りません。透析導入病院に送ることによって、安易に下肢が切断される悲劇が、今でも起こっています。残念ながらCLIの適切な治療は、全国どこの施設でも(大学病院でさえも)同じレベルで行える状況にはありません。

CLIを治癒させるには、血行再建と創傷の両方の治療が成功し、2つの治療ができる診療科によって治療され、2つの診療科が連携している必要があります。CLIの適切な医療はまだ始まったばかりですので、2つの治療を同一の施設でできることが少なく、その場合は2つの病院で病病連携の中で、患者が転院をしながら足の治療を行っていくことになります。今回の加算はいわば、“連携加算”であり、血行再建ができる施設への紹介が条件となっています。具体的には顔の見える連携が重要です。

全国でCLIに対する治療の研究会が行われています。そのような研究会や講演会に参加し適切に治療を行っている医師や看護師と直接話をして、患者をお願いするのが最も確実です。病院名だけをみて患者を紹介することはやめたほうがよいでしょう。

このような現状から専門施設へ紹介したら、患者が治って戻ってくると考えるのは早急すぎます。CLI治療は非常に難しく、連携が適切に行われてはじめて治癒するので、患者がどういう状態で、クリニックへ戻ってきたか、確認することが重要です。

表6 重症下肢虚血(CLI)の積極的な治療を行う必要がでてきた際、
安易に行ってほしくない選択肢
1.透析導入病院にとりあえず送る
2.近くの総合病院や大学病院に送る

どういう流れで治療が進むのか?

実際の患者の流れは、図9のようになると予測されます。治療のパターンは5つが考えられ(図10)、患者を紹介した後で、この5つのパターンが起こることを予測しておく必要があります。

図9 重症下肢虚血の診断・治療のアルゴリズム


図10 診療科連携と患者さんの流れ


① 血行再建のみ:血行再建だけ行われて、創傷治療がなされないまま、透析クリニックへ患者が戻される

創傷治療を適切に行う必要があります。創傷治療を行っている施設へさらに紹介し、デブリードマンや免荷装具を作製してもらいます。

② 創傷治療のみ:軟膏処置や簡単なデブリ−ドマンなどの創傷治療だけ指示されて戻される

血流が低下している状態で、創傷処置を行っても、治癒することはなく、虚血が進行するので、他の血行再建ができる専門施設へ紹介し直す必要があります。

③ 血行再建+創傷治療:血行再建後に、創傷治療が行われて、治癒または、治癒前の軽度の処置で透析クリニックへ戻ってくる

治癒の可能性が最も高い状態です。免荷装具を適切に使用しながら、洗浄と創傷処置を継続します。クリニックでも十分対応可能な状態でしょう。

④ 血行再建も行われない:本来血行再建の適応はあるが、血行再建の必要がないと言われて、経過観察だけで戻ってくる

残念ながら血行再建技術は、施設によってばらつきがあります。良い血行再建ができる施設もあれば、できない施設もあります。特に膝下、下腿の治療を行わない、できない施設があります。

そのような施設を紹介したときには、血行再建の必要がない(実はできない)と診断されたり、大腿部のみの血行再建だけで、クリニックへ戻されることがあります。よって膝下、下腿の治療を行っている他の血行再建施設を探して紹介しなおすことが必要になることがあります。

⑤ CLIの積極的治療の適応がない

先に述べたように、積極的治療の適応がない場合には、切断またはそのままの状態で診ていくことしかできません。そのような病院へ紹介します。

看護師はどこに気を付ければよいのか?

看護師が行うべきこと

1. 透析クリニックの全患者のフットケアシートを作成し、透析全患者の足を一度観察し、リスク分類する

全患者を観察するとなると大変な作業だと考えるかもしれません。しかし1つのクリニックで、ハイリスクとなる患者は10名以下のはず。これらの患者を1〜2週に一度の頻度でフットケアを行えばよいのです。

*なお、足に変形がある、すでに切断の既往がある、虚血がある、創傷がある、間歇性跛行があるなどの患者はハイリスク患者です。

2. ハイリスクの患者の足の状態を1〜2週間に一度観察する

すでに創傷をもつような患者に関しては、毎透析時に観察し増悪傾向が認められれば、創傷治療を行っている施設へ紹介する。

血流評価は、臨床工学技士と協力して評価できる体制を作るとよいでしょう。

3. ハイリスクでない患者も1カ月に一度は、観察しフットケアシートをつける
4. 患者教育を行う

特に足を失ったら、透析クリニックには通えなくなり、つまり自宅での生活ができなくなることを、イメージさせましょう。透析クリニックに通えなくなるということは、病院や施設に入って、透析を受けながら暮らすということです。自分の生活ができなくなる。そのことの重要性、重大さを日ごろから患者に理解してもらう必要があるのです。さらに足を観察することの重要性に気づいてもらい、自主的にフットケアができるようになってもらいましょう。

医師が看護師に期待している役割

このような処置や教育指導を実践的に行うには、看護師の力が欠かせません。創傷処置を行っている施設から積極的に学び、褥瘡・下肢創傷の処置を看護師が中心となって行っていく体制を院内で構築する必要があります。

知識と技術を得るには、日本下肢救済・足病学会の認定師講習などを受講されることをお勧めします。血流評価、スクリーニング、フットケア、創傷処置を看護師のシゴトとしてマスターしてもらい、ぜひ先頭に立って透析患者の足を救っていただけたらと期待しています。

(2016年05月)

Act Against Amputation
-なくそう、下肢切断-

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Faculty Member/Clinical Reporter
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