糖尿病ネットワーク

当コーナーでは、足病治療やフットケアに積極的に取り組む医療従事者からの投稿をご紹介しております。
皆さまの足への想い、忘れられないエピソードなどをご投稿ください!

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リレーコラム「つなごう、足への想い。」 ▶

2. 小さなささくれから下腿切断、義足で歩行獲得できた患者さん

東京西徳洲会病院 看護師
矢野 晶子

 私の看護師経験の中で心臓カテーテルに勤務していたことがありました。その後透析室に異動になったのですが、心臓カテーテル室で勤務していたため、「血管のこと知っているよね? フットケア担当してね」という上司の言葉からでした。まずはクリニックの透析患者さんのフットチェックから始めましたが、最初はやはりチェックのみで終わることもありました。それでも基幹病院にはフットケア外来があり、何かあればすぐに相談できる環境であったと思います。ただ、相談できる環境であったとはいえ、傷ができた場合に受診を促していることがほとんどであり、巻き爪や胼胝、鶏眼で受診することはありませんでした。軽度の胼胝や鶏眼はクリニックで処置を行なっていましたが、フットケア以外で患者さんと関わらなければいけない業務もあり、軌道に乗るまでは1日に何人もの患者さんの処置が重なることが負担となっていたこともありました。しかし、スタッフがフットケアの必要性を感じ、処置が多い受け持ちのチームには他のスタッフがフォローに回るようになりました。

 そのような環境で、私の中で印象に残っている患者さんがいます。もともと足の血流は悪く、小さなささくれを取ったことから傷になってしまったため、循環器の医師は積極的に何度も血行再建を行なってくれました。

 透析室ではLDLアフェレーシスを併用し、血液透析と合わせて1日6時間の体外循環を行っていました。それでも徐々に傷は拡大してしまい、透析中は特に疼痛が強いためベッドから足を下ろして透析を受けるような状況が続いていました。透析中に処置を行うのですが、疼痛が強く、処置を行うことで疼痛が増強するために処置は透析終了ギリギリの時間帯で行うようにしました。それでもかなりの痛みがあるため、タオルを口にくわえながら痛みに耐えていました。

 患者さんからは「先生から痛みが強いなら切断するという手段もあると言われた。」と何度も透析中に同じ話をして、切断するかしないかをとても悩んでいました。最終的には傷は治らず、疼痛が強いため本人と医師と相談した上で下腿切断となってしまいましたが、傷が治るまでは電動車椅子を使用し、透析室を走り回っていました。断端部の傷が治ってからは義足を作製し、早期に歩行の獲得に成功しました。

 この患者さんのように足を切断した人が義足を作製して歩行できるようになるまでは長い時間を必要とし、義足を作製して歩行を獲得できる患者さんは多くいません。足を守るためにも傷を作らないためのフットケアや私たちの啓蒙が重要になると感じています。

著者プロフィール

氏 名
矢野 晶子
職 業
看護師
所 属
東京西徳洲会病院
趣 味
買い物、お酒を飲むこと

(2017年08月)

Act Against Amputation
-なくそう、下肢切断-

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