糖尿病ネットワーク

当コーナーでは、足病治療やフットケアに積極的に取り組む医療従事者からの投稿をご紹介しております。
皆さまの足への想い、忘れられないエピソードなどをご投稿ください!

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リレーコラム「つなごう、足への想い。」 ▶

5. フットケアを学び直そうと思ったきっかけ

日本鋼管 福山病院 透析センター 看護師
松田 和子

 50歳を目前に透析看護認定看護師を目指したきっかけは、80歳代の女性透析患者さんとの出会いでした。明るく、頭の回転も良く、ユーモアのある方で、透析中これまでの人生の出来事をよく話して下さいました。私はこの方の話を聞くのが大好きで、人生の先輩としてとても尊敬していました。

 しかし、ある日「足が痛い」と言われた時、すでに足の色は暗赤色で、左足趾に小さな傷もできていました。糖尿病やPADもあり、みるみるうちに足潰瘍は悪化し、透析中は、寝たら足が痛いので足を下げて座る。座ったら血圧が下がるのでまた寝る、を繰り返す日々となりました。

 PTAを試みましたが、膝下動脈にガイドワイヤーが通らず、血管を拡張することはできませんでした。「するんじゃなかった。足のことをみんながヤイヤイ言うので嫌になる」と透析に来られても、足のことには一切触れてほしくないと口も聞いてくれなくなってしまいました。

 ある日、足のあちこちに吸い玉のようなまん丸い赤黒い跡と水疱ができているのを見つけショックを受けました。痛みを和らげようと民間の低周波電気治療に行かれたそうです。以前、左1趾を切断する前も、傷を治すと言って有馬温泉に行かれたことを思い出しました。なんとか治そうと必死だったのだと思います。

 その後、炎症反応は一気に上昇し、夜も痛みで眠れなくなり、左下腿の切断となりました。そして1カ月後には反対側の右下腿も切断となり、2カ月の間に両足を失うことになってしまいました。

 「こんな痛い目に合わせて、苦しんで、えらい目に合わせて、気持ちよう死なせてくれたらええのに・・こんな足、両方短くなってしまって・・・こんな歳になってから、こんな病気になって、我慢ばかり・・」と涙されました。私は無力感にさいなまれ、どうやって声をかけたら良いのか迷い、体をさすり、側にいることしか出来ませんでした。

 しばらくしてからある日、患者さんから「足がなくたって手があるから良かった。足でご飯を食べるわけではないからねえ」と思いもよらない言葉をかけてもらいました。その言葉に衝撃を受け、こちらが救われた気持ちになりました。

 私はこの患者さんから、透析患者さんの足に向き合ってこなかった自分を知り、透析看護師におけるフットケアの大切さと責任の重さを教えてもらいました。

 透析看護は奥が深く、知識、技術、人間性を問われる専門職であり、足との関わりがきっかけとなり、いちから勉強しなおそうと思ったことが認定看護師を目指した理由です。半年通った認定看護師教育センターの中では最年長で、どんくさいながらも必死でがんばれたのも、これまで関わってきた多くの患者さんたちが、私の背中を押してくれたように思えてなりません。これからの人生は患者さんたちに寄り添い、良きパートナーであるよう努めて参ります。

 つい先日、当院で開催された『第3回福山地区フットケア研究会』に、下北沢病院糖尿病センター長・富田益臣先生が講演に来て下さり、足への細やかな気配りが大切であることを勉強させていただきました。これからもフットケアについていろいろなことを学び、実践に繋げていきたいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。

著者プロフィール

氏 名
松田 和子
職 業
看護師
所 属
日本鋼管 福山病院 透析センター
略 歴
1988年 社会保険(現JCHO)神戸中央病院 勤務
2016年 東京女子医科大学看護学部 認定看護師教育センター(透析分野13回生)入学
2017年 日本鋼管 福山病院 勤務

(2018年01月)

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-なくそう、下肢切断-

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