糖尿病ネットワーク

当コーナーでは、足病治療やフットケアに積極的に取り組む医療従事者からの投稿をご紹介しております。
皆さまの足への想い、忘れられないエピソードなどをご投稿ください!

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リレーコラム「つなごう、足への想い。」 ▶

9. 私とフットケアとの出会い

医療法人健応会 呉やけやま病院
白土 亜希子

 私がフットケアを勉強しようと思ったきっかけは、今の職場に勤め始めてからのことです。99歳で両上肢が拘縮し全く身動きの出来ない寝たきりの方の手足の爪を見ての衝撃。手足の爪が爪白癬で肥厚し伸びきり、その爪は寝具や更衣時に引っかかり、何度も爪甲剥離を繰り返し、なんとかせざるを得ない状況でした。爪切りの隙間には全く爪が入らず、この状態を放置してしまうことは私には出来ないと思い、色々調べ自分なりに歯の欠けたニッパーで何とか少しずつケアをすることから始めました。しかし、この肥厚した爪を切ったのは良いけれど、この肥厚をどうしたら良いのやら全く分からず限界を感じていました。

 そんなとき、JTFA指定校で足の専門校SCHOOL OF PEDIを見つけすぐに入学。半年間、月に1回のスクーリングと多くの課題をこなし、医療フットケアスペシャリストという資格を取得しました。そのことで、患者さんの肥厚した爪を何とかすることができ、爪甲(そうこう)剥離を未然に防ぐことができ、その達成感がフットケアを精神科で続ける原動力となりました。

 私が勤める、呉やけやま病院には精神科、心療内科、内科、リハビリテーション科があります。精神科とフットケアとの繋がりにピンと来ない方が多くいらっしゃると思います。入院中の精神疾患を持つ患者さんの多くはセルフケア不足の方が多く、爪が伸びても自ら気づき、切ることができる人は数少ないです。経済的に苦しい方も多いなか、靴にお金をかけれない現状もあり、自分の足に合った靴を履けておらず、足の変形も多く見られます。また、経年による精神薬の服用による副作用からくる薬剤性パーキンソンニズムで、突進歩行や小刻み歩行の方も多く、鶏眼や胼胝、爪の変形など何かしらトラブルを持っています。また、陥入爪の定期的なケアの介入で瘭疽(ひょうそ)の手術がゼロになりました。このように、フットケアを必要とする患者さんも多い現状です。

私とフットケアとの出会い

 感情鈍麻した方も多く、鶏眼の痛みや足のトラブルを言葉で表現することが難しい方もいらっしゃるので、痛みのフェイススケールを使用しフットケア前後の感情を確認しているのですが、フットケア後に「快」の感情を伝えることができる方が意外に多いことがわかりました。感情鈍麻してはいても「快」の感情を忘れてはいないこともわかり、フットケア介入は一定の意義があると実感しています。

 ある患者さんで、フットケア中に対話性の独語を始められた方がいました。「わたし、今足をきれいにしてもらってますの。あなたも予約します?京都からでも大丈夫と思います。この方お上手ですよ。とても気持ちいんです」と、幻聴が入り会話している内容を聞いて、思わず微笑んでしまったこともありました。以前は普段の業務中にこんなシーンに遭遇したことはなかったなぁと、嬉しくなりました。

 昨年9月より病棟から外来へと異動になり、フットケア外来も細々とやらせていただき、地域の方々との繋がりもできてきました。転倒予防とフットケアの必要性についての講演を院内の認知症カフェで行う機会もでき、これからは少しずつ地域でも転倒予防とフットケアの必要性を発信していけたらと思っています。そして、精神科の患者さんたちの足からQOLを高めていけるように、これからもフットケアを頑張っていけたらと思っています。

著者プロフィール

白土 亜希子 医療法人健応会 呉やけやま病院 看護師

氏 名
白土 亜希子
職 業
看護師
所 属
医療法人健応会 呉やけやま病院
略 歴
2004年:沖縄県立看護大学 看護学部看護学科卒業
2015年:呉やけやま病院 勤務
2016年:JTFA指定校 足の専門校「SCHOOL OF PEDI」にて
     医療フットケアスペシャリスト資格取得
趣味
美味しいものを食べながら、お酒を飲むこと。美味しいものを作ること。

(2018年03月)

Act Against Amputation
-なくそう、下肢切断-

Director Member
Faculty Member/Clinical Reporter
Advisory Member

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