開催報告

第9回 若い糖尿病患者さんとのグループミーティングのまとめ

  東京女子医大糖尿病センター 小林浩子

   人は"人との関わり""心のつながり"から心が満たされ、勇気をもって生きていくことができる。人と関わる場であるこの会場に、今回は患者さん9名、医療関係者2名、スタッフ7名が集まった。大きなひとつの輪となり、お互いの顔や声がじっくり見ること、聴くことができるくらいの人数であり、落ち着いた雰囲気の中で、みなさんの気持ちを聴くことができた。

 夏に1型糖尿病を発症したばかりの方から病歴30年の方までいろいろな方が参加された。しかし病歴の長さにかかわらず、糖尿病患者さんにとって共通なのは毎日インスリン注射をして食事をし、血糖を管理しながら暮らしていることである。

 しかし、実際生活していくと、インスリンの量や回数、注射の部位のことだけが問題になるのではない。外来の診察室では話題にならないようなちょっとしたこと、ちょっとしたどうしたらいいのかという疑問がたまってくるのである(忙しい主治医には聞けないし)。しかし、これらがものすごく大事なことで、これがインスリンとの生活の実践なのである。

   「スターバックスコーヒー店では注射できるよ。意外と周囲の人はインスリンに気がつかないようだ」とか、「自分は狭いトイレで注射や血糖自己測定をしているがみんなどうしているのか?」とか、「カーボカウンティングがうまくいかない、どう活用しているか?」など、後になって"あの時そういう話をしている人がいたな"と思い出すことができ、あの人に訊いてみようとか、なにかパンフがあったなとか、役に立つことが多い。また、喫茶店でインスリンの注射をしているのは自分だけではないのだと、心のつかえがとれることもある。インスリンの季節による吸収の差や風邪の時の対処法、飲酒時のインスリン注射のこつや自己血糖測定器の今後の展望なども。病歴の短い人は長い人から経験談をきき、長い人は短い人の話しから改めて糖尿病をきちんと管理していこうという初心に帰るきっかけになるようだ。

   医療従事者は糖尿病と共に生活する毎日をほんとうに理解しているだろうか。未知の部分が少なくないと思う。この機会に実際の生活の中での患者さんのノウハオを学び、診療の中でより適切なアドバイスができるようになる。

   パウロは聖書の中で人間の生き方について"強くなれ Become strong"とは言わず、"強くあれ Be strong"と述べているという。糖尿病になってまもないと、自分の生活が血糖コントロールのために押しつぶされそうになり、悩むことが多い。糖尿病になったから、強くならなければと無理をするとますます疲れてしまう。糖尿病から逃げだしたくなる。
 しかし人間は他のものにはなれない。糖尿病を発症したあるがままの自分の存在をしっかり生きていく、それが"Be strong"というパウロの励ましの心ではないか、というチャプレンの言葉で第9回グループミーティングは終了した。