開催報告

第26回 若い糖尿病患者さんとのグループミーティングのまとめ  

東京女子医科大学糖尿病センター 小林浩子

第26回のグループミーティングは2015年3月22日でした。患者さん40名、ご家族7名、医師8名(内スタッフ4名)、看護師4名、臨床心理士1名の皆さんにご参加いただきました。たぶん、過去最高の人数ではないでしょうか。
 1型糖尿病を発症して2年以内の方は12名。このようなミーティングに参加するのが初めての方も数多くおられました。
 参加者60名それぞれが糖尿病との関わりの中で様々な体験をされているのだと思いながら、じっくりとお互いの話を聴いてみたくなりました。

新しい生活が始まるとき
毎年3月のミーティングでは、「新しい学校・職場に、自分の糖尿病をどう伝えるか?」という話題がでます。
 学校ではインスリンを食前に打つと給食当番ができません。友人に伝えて変な気遣いをされるのも嫌だし、心ない一言で傷つくかもしれません。
 周りに知られていないから仕事中に低血糖を起こしたくないとも思ってしまい、インスリンを減量し、血糖コントロールが悪化することもあります。
 「自分の中で病気をどう捉えるかが、そのまま生き方にも表れてきます。糖尿病についてわざわざ自分から話さなくても自然と相手にも伝わるものです」とおっしゃった方がいました。とても考えさせられる一言です。

誰にどのように伝えるか、タイミングは?
周囲に伝えることで低血糖のことを自分ひとりで予防しなくてよいという気分になり楽になる面と、変な気遣いをされてしまうのではないかというマイナス面があります。
 何をどう伝えるかは悩むところですが、新生活が少しでもスムーズに過ごしていけるように、ミーティングで聴いた皆さんのいろいろな話が参考になれば幸いです。

1型糖尿病と医療スタッフ
「糖尿病によって人は幸せにも不幸にもなれるのですね」と医療スタッフのひとりが話していました。
 確かに1型糖尿病を通して人はさらに強くなっていけるのだと思います。ですがその一方で、どうしても前向きにはなれない時もあります。
 そのような時に、医療スタッフが自然にサポートできる環境づくりが必要なのだと思いました。

自分が主導権を持って生きる
インスリン注射を始めて間もない方は「気持ちが軽くなりました。今までは糖尿病に引っ張られていたなあ。自分の頭の上に糖尿病があって、自分が支配されている感じでした。でもこれからは、自分が主導権を持って生きていきます」と述べられました。
 ミーティングに参加したことで勇気づけられ、心が温かくなった方が一人でも多くなるようにと願いながら、ミーティングは閉会しました。

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