開催報告

第31回 若い糖尿病患者さんとのグループミーティングのまとめ

東京女子医科大学糖尿病センター 小林浩子

ミーティングには患者さん31名、ご家族2名、医師6名(内スタッフ4名)、看護師6名の方にご参加いただきました。はじめにチャプレンより「自信をもって生きましょう。誰かが代わりに私の人生を生きることはできません。患者さんのすごいところは、自分の運命というものをよく考え、各々の立場で唯一無二の存在として生きていることです。」と話がありました。この言葉を皮切りに、午前中は大きな輪になって1人ずつ自己紹介をしていきました。

午後は小グループでの話し合いです。発症して間もないAさんは、病院に行くのが苦痛で仕方がないと告白されました。“1型糖尿病”よりも病院スタッフとの付き合いが辛いのだそうです。よくよく聴いてみると、看護師からの「1型さんは細かくて神経質で心配症ね」の一言が胸にひっかかっているとのこと。その看護師はそんなに心配しなくても大丈夫よ、と表現したかったのかもしれません。ですが、人格を否定されているように感じたAさんは、その後から「質問をしたら神経質だと思われるかもしれない」、「余計なことを言うと心配症だと思われて、私だけでなく1型糖尿病の全員がそう思われてしまう」など様々なことを考えるようになり、受診日の数日前から苦しいのだそうです。

その話をきいたBさんは「私も通院が嫌なことがあるわ〜」と発言し、その後しばらくは1型糖尿病における「医療者のこんなところが嫌だ」の『あるある話し』で盛り上がりました。私も興味深く拝聴しましたが、医療者としては冷や汗がでそうでした。我々が発する何気ない一言が、患者さんをここまで追い詰めてしまうことがあるということを、医療者は十分に認識しなくてはなりません。
私たちは、医学部、看護学部のカリキュラムの中で、心理学やコミュニケーション学を十分に勉強する機会はありませんでした。勉強も研修もせずに、実地の場に放り出されます。患者さんの様々な思いを聴くことができるこのグループミーティングが、医療者の学びにつながることを願っております。

紫陽花が梅雨空に鮮やかに咲き誇っています。紫陽花は何処でどのように咲こうかなどと考えません。ありのままが美しいのです。人間は自分の心や身体の傷は隠しておきたいと思い悩みます。ですが「こんな傷をもっている私だけど、どう?」と清々しく咲いてみるのもいいかもしれません。1人1人がチャプレンのクロージングの言葉を胸に帰途につきました。