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インスリンポンプ使用中の1型糖尿病患者で心疾患死リスクが半減
2015年08月
 インスリンポンプ療法を行っている1型糖尿病患者では、1日複数回のインスリン注射を続けている患者に比べて、心血管疾患による死亡リスクが半減するとの知見が、新しい観察研究で報告された。

 今回の研究は、デンマーク・オーフス大学病院のIsabelle Steineck氏らがスウェーデンで行ったもので、スウェーデン国立糖尿病レジスター(Swedish National Diabetes Register)に登録された1 型糖尿病患者約1万8,000人を対象に、インスリンポンプ療法中の患者とインスリン注射を行っている患者で心血管疾患リスクを比較検討した。

 対象のうち、約2,400人がインスリンポンプを使用していた。平均年齢は、インスリンポンプ使用群で38歳、インスリン注射群で41歳だった。

 平均6.8年の追跡期間中、1,423件の致死的または非致死的心血管疾患が発生していた。解析の結果、インスリンポンプ使用群では、心血管疾患による若年死亡リスクが45%低下し、心血管疾患または脳卒中による若年死亡リスクは42%、全死亡リスクは27%それぞれ低下した。Steineck氏らによると、観察研究であるため、インスリンポンプの使用が死亡リスクを下げたとはいえないが、両者の間には有意な関連が認められたという。

 この知見は、「BMJ」6月22日オンライン版に掲載された。なお、本研究にはインスリンポンプ製造企業からの資金援助はないとしている。

 1型糖尿病患者のインスリン補充には、インスリンを1日複数回注射する注射療法と、皮下に留置した細いカニューレを通してインスリンを持続的に注入するインスリンポンプ療法の2通りがある。後者のインスリンポンプでは、患者がインスリンの量や注入タイミングを操作できる。なお、スウェーデンでは、選択肢は限られるものの、インスリンポンプと関連する消耗品は全額保険でカバーされるという。

 インスリンポンプ療法中の1型糖尿病患者で若年死亡リスクが低減した理由として、同氏らは、「重篤な低血糖のエピソードが減るためではないか」と説明している。低血糖は心血管疾患リスク上昇と関連することが指摘されているが、同氏らは、「今回の死亡抑制効果が、インスリンの継続注入によるものなのか、血糖モニタリングの増強や血糖管理へのモチベーションの向上、1型糖尿病に関する知識が豊富になったことに起因するのかどうかは不明だ」と付言している。

 米JDRF(旧・青少年糖尿病研究財団)研究ビジネス開発部長のVincent Crabtree氏は、「多くの分析で、継続インスリン注入は生理学的にもベネフィットがあることが示されている。この結果は興味深いが、結論を得るにはさらなる研究の実施が必要だ」とコメントしている。また、同氏は、米国ではインスリンポンプを使用しているのは1型糖尿病患者のうち半数に満たない現状を示しつつ、「このインスリンポンプの使用率が今後、向上することが期待される」と述べている。

Insulin Pumps Nearly Halve Risk of Heart Disease Death for Type 1 Diabetics

[2015年8月19日/HealthDayNews] Copyright© 2015 HealthDay. All rights reserved.

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