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喫煙と体重歴の調整で「肥満パラドックス」は消失する?
2015年10月
 糖尿病や心疾患などの慢性疾患患者では、標準体重の人よりも肥満や過体重の人のほうが長生きするという、いわゆる「肥満パラドックス」に対する議論が依然続いている。

 しかし、今回、この肥満パラドックスを支持する研究は信頼性が低いものだとする研究結果が、「Obesity」9月30日オンライン版に掲載された。この報告によると、過去の研究では『体重歴』と『喫煙歴』という、肥満に影響を及ぼす2つの重要な因子が考慮されておらず、これが肥満パラドックス現象が生まれた要因だとしている。

 研究を主導した米ペンシルベニア大学社会学教授のSamuel Preston氏は、「重病の人は死期が近づくと体重が減る傾向にあるが、この事実が肥満パラドックスへの誤った認識を広めるのに多大な影響を及ぼしている」と述べ、喫煙歴については、「健康に有害なのは明らかだが、一方で代謝を増進し体重を減らす作用もある点が、過去の研究では考慮されてこなかった。喫煙者が肥満であるケースは少なく、肥満者の喫煙率は高くないことも影響している」と説明している。

 さらに、「これら2つのバイアスを調整したところ、調査時点では確認された心血管疾患患者における肥満パラドックスは消失した。この逆説は存在するが、その要因は過体重ではなく、体重歴と肥満歴のバイアスだと言える」と、同氏は結論づけている。

 今回の研究では、1988〜2011年の全米健康栄養調査(NHANES)の参加者約3万人のデータから、3,400人近くの心疾患患者に焦点をあてて解析を行った。

 過去の研究では、対象者が調査に参加した時点の体重のみを調べていたのに対し、今回は参加者の体重の変化も解析に含めた。これにより、調査参加直近で大幅に体重が減っていても、それ以前に長期にわたる肥満歴があるかどうかを判断できた。また、心疾患があるが、生涯にわたって標準体重を維持していた人を対照群として同定することもできた。

 その結果、心疾患患者でも標準体重(BMI 18.5〜24.9)を維持した対照群では、肥満や過体重(BMI≧25)の人よりも長生きする傾向がみられ、肥満パラドックスは消失していた。さらに、喫煙歴のない人に限定して解析したところ、試験期間中の死亡リスクは、標準体重の人に比べて過体重や肥満の人で50%も高いことがわかった。

 米レノックスヒル病院(ニューヨーク市)心臓専門医のSuzanne Steinbaum氏は、「この知見により、肥満パラドックスが単に統計上の誤りである可能性が示された」とコメントしている。

 一方で、米コロラド大学医学部(オーロラ)教授のRobert Eckel氏は、今回の研究では心疾患患者に焦点をあてているが、心臓以外の死因による死亡も解析に含めている点を指摘。これが試験の信頼性を損ねている可能性もあり、「肥満パラドックスを完全に否定するには時期尚早かもしれない」との見解を述べている。

Study Refutes Notion That Obese Fare Better Against Chronic Ills

[2015年10月22日/HealthDayNews] Copyright© 2015 HealthDay. All rights reserved.

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