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大気汚染物質への長期曝露で糖尿病患者の心疾患リスク上昇
2015年11月
 大気汚染物質への長期曝露により、女性の糖尿病患者で心疾患リスクが高まることが、大規模な疫学研究で明らかにされた。過去の研究で、大気汚染物質への短期曝露が心疾患リスク上昇と関連し、とくに糖尿病患者でこの関連性が強いことが示されているが、今回、大気汚染長期曝露の影響も同様であることがわかった。

 筆頭著者である米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院(ボストン)のJaime Hart氏は、「今回の研究は、大気汚染物質への曝露に対する反応は人それぞれである点に注目した。糖尿病患者に対する大気汚染短期曝露の影響については、これまで確かな研究が行われており、今回の長期曝露の影響でも同様の結果が得られた」と述べている。

 心疾患が糖尿病の重大な合併症であることは明らかで、米国立衛生研究所(NIH)によると、米国では糖尿病患者約2,900万人のうち心疾患や脳卒中が原因で死亡に至る患者が65%にも上るとされている。

 Hart氏らは、1976年に開始された看護師健康調査(Nurses' Health Study;NHS)に参加した約11万4,000人の女性(平均年齢64歳)を対象に、心疾患および脳卒中の発症と、異なるサイズの粒子状物質(PM)への曝露との関連を調査した。

 今回の検討では、粒子状物質は、自動車排出ガスや火力発電所などの燃料燃焼によって排出される、肉眼では見えないPM2.5(粒子径が2.5μm以下)と、PM2.5よりも粒子径が大きく、風で運ばれた粉塵や土埃、物の破砕などによるPM10(同10μm以下)、その両者を含むPM2.5〜10 の3つのレベルに分けて比較した。

 17年間の追跡から、PM2.5に長期曝露された女性の糖尿病患者では心血管疾患リスクが44%、脳卒中リスクが66%上昇することがわかった。PM2.5に比べてPM10 やPM2.5〜10への曝露では、心疾患リスクの上昇幅はやや縮小したものの、統計学的に有意な上昇がみられた。この知見は、「Journal of the American Heart Association」オンライン版に11月25日掲載された。

 同氏は「粒子状物質のサイズが小さいほど肺の奥深くまで到達し、炎症を起こして血管狭窄につながるものと考えられる。最も小さなサイズの粒子は肺を通過して血液中にまで到達することを示唆するエビデンスもある」と説明している。

 米インターマウンテン医療センター心臓研究所(ユタ州)のJohn Day氏は、今回の研究には男性は含まれていないが、この知見は男性の糖尿病患者にも当てはまるとし、「糖尿病患者ではすでに心疾患リスクが高いが、大気汚染物質への曝露によりそのリスクはさらに上昇する」と述べている。

 多くの主要都市では、大気汚染の状況をオンラインで毎日確認できるため、同氏は「PM値が高ければ、とくに糖尿病患者は屋内で過ごし、逆に数値が低ければ屋外で運動するなど、日々の活動の目安に利用するとよい」と助言している。

Smog Raises Heart Risks in Those With Diabetes, Study Says

[2015年11月25日/HealthDayNews] Copyright© 2015 HealthDay. All rights reserved.

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