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腎症の進行は糖尿病前症の段階から始まる
2015年12月
 糖尿病を発症する前の糖尿病前症の段階から腎症の徴候がみられることが、新しい研究で示された。正常よりも高い血糖値が慢性的に続く状態下では、腎機能異常リスクが高まり、腎不全への進行につながるとしている。

 「今回の研究で、糖尿病前症でみられる程度の血糖値上昇でも腎症の発症につながる、病理学的なプロセスが示された」と、研究著者である北ノルウェー大学病院准教授のToralf Melsom氏は述べている。

 この研究では、糖尿病のない50〜62歳の一般住民約1,300人を対象に、中央値で5.6年間追跡調査を行った。対象者のうち595人がベースライン時に糖尿病前症だった。

 同氏らによると、成人の35%が糖尿病前症で、患者数は糖尿病の2倍にのぼるとしている。この糖尿病前症患者の約半数が10年以内に糖尿病を発症するとされ、糖尿病への進展予防は臨床上大きな課題とされている。腎症は糖尿病の三大合併症の1つであるが、今回の検討で、心血管リスク因子などを調整後の解析でも、糖尿病前症患者では、糸球体濾過過剰や尿中アルブミン高値といった早期の腎症の徴候を示すことがわかった。

 「American Journal of Kidney Diseases」オンライン版に2015年12月29日掲載されたこの研究によると、腎症は、高血糖状態が慢性的に続くことによる代謝変化によって引き起こされるものだとしている。Melsom 氏は、慢性腎臓病(CKD)を予防するには、糖尿病前症の段階から食生活の是正や運動などの介入を行う必要があると指摘している。

 過去の研究では、糖尿病前症と腎不全の間に一貫した関連は認められなかったが、同氏らによると、これは正常範囲の上限・下限近くの糸球体濾過量(GFR)の測定が難しいことが一因だったとしており、今回は、推算糸球体濾過量(eGFR)ではなく実測GFR(mGFR)を用いることで、腎機能がうまく機能しているかをより正確に評価できたと述べている。

 全米腎臓財団(NKF)会長のJeffrey Berns氏によると、世界中の糖尿病前症患者は2030年までに4億7,000万人以上にのぼると予測されている。同氏は「今回の結果をはじめ複数の研究で、糖尿病前症の段階から生活習慣の是正や医師による管理を行うことが腎機能低下の歯止めとなりうることが示されている」と述べている。

Diabetic Kidney Damage May Start Earlier Than Thought

[2015年12月29日/HealthDayNews] Copyright© 2015 HealthDay. All rights reserved.

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