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1型糖尿病でがんリスクは高まるのか?
2016年03月
 1型糖尿病患者では、一般集団に比べて発症頻度が高まるがんがある一方で、一部のがんではリスクが低下することが、新しい研究で示された。1型糖尿病患者では、胃がんや肝臓がん、膵臓がん、子宮体がん、腎臓がんの発症リスクは高まるが、前立腺がんや乳がんのリスクは低下していたという。この知見は、「Diabetologia」オンライン版に2月29日掲載された。

 研究著者の1人、英エジンバラ大学(スコットランド)教授のSarah Wild氏によれば、今回示されたがんリスクの傾向は2型糖尿病や肥満の患者でみられるものと類似しており、インスリン治療でがんリスクが上昇する可能性は少ないとしている。

 なお、同氏は、今回の知見は1型糖尿病とがんリスクの関連性を示しただけで、これらの因果関係を証明したものではないと断っている。

 米モンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク市)臨床糖尿病センター長を務めるJoel Zonszein氏は、「今回の研究では、1型糖尿病患者でがんリスクが上昇する理由が説明されていない」と述べており、全対象患者がインスリン治療を受けており、対象者の中に2型糖尿病患者が混在していた可能性があるとも指摘している。

 この研究では、オーストラリア、デンマーク、フィンランド、スコットランド、スウェーデンの5カ国から1型糖尿病患者のデータを収集した。この1型糖尿病の患者集団と一般住民の集団との間でがん発症率を比較した。3900万人・年の追跡期間中、1型糖尿病患者のうち約9,000人ががんを発症した。

 その結果、男性の1型糖尿病患者ではがん全体のリスク上昇は認められなかったが、女性では7%のリスク上昇が認められた。Wild氏によると、男性では前立腺がんリスクが44%低下しており、これにより全体のがんリスクに上昇がみられなかったとしている。前立腺がんや乳がんといった男女で特異的ながんを解析から除外すると、がん全体のリスクは男性で15%、女性では17%上昇していた。

 がん種類別にみると、胃がんリスクは男性で23%、女性では78%上昇し、肝臓がんリスクは男性で2倍に、女性では55%上昇していた。一方で、女性の乳がんリスクは10%低下していた。ただし、多くのがんは発症頻度が低く、実際のリスクはわずかなものだという。

 また、がんリスクは1型糖尿病の発症直後で最も高くなり、1型糖尿病と診断後1年以内のがんリスクは男女とも2倍以上に上った。糖尿病罹病期間が長いほどがんリスクは低下し、男性の場合は診断から20年後、女性では診断から5年後に一般集団レベルにまで低下していた。ただし、診断後にリスクが高かったのは、既存のがんが検出されたことによる可能性もあるという。

 2型糖尿病とは異なり、1型糖尿病は生活習慣には関連していないが、「禁煙や減量、運動などの生活習慣の改善はがんリスクの低下につながるもので、1型糖尿病患者にとっても重要だ」と、Wild氏は述べている。

Is Type 1 Diabetes Linked to Raised Risk of Certain Cancers?

[2016年3月1日/HealthDayNews] Copyright© 2016 HealthDay. All rights reserved.

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