HealthDayNews トップページへ メールマガジン無料登録
肌に貼るパッチで「侵襲のない」糖尿病管理が可能に
2016年03月
 汗で血糖値を測定するセンサーと、治療薬を経皮投与する極小の針を備えたパッチを肌に貼るだけで、痛みを伴わない糖尿病の管理や治療が可能になるかもしれない−。こんな研究結果が、韓国の研究チームから報告された。

 研究著者である韓国ソウル大学校のHyunjae Lee氏は、「今回の研究では、糖尿病の管理や治療につきまとう、血糖測定時の採血やインスリンなどの注射の際に伴う痛みをいかに抑えられるかに焦点を当てた」と述べている。この知見は、「Nature Nanotechnology」オンライン版に3月21日掲載された。

 付随論説を執筆した英バース大学教授のRichard Guy氏によると、血糖測定法には、指先の穿刺とセンサーを皮下に埋め込む持続血糖モニターの2つがあるが、いずれも侵襲的であることが問題だった。過去には、米国のある企業が、皮膚に貼り付けたパッチで間質液を採取し、低侵襲で血糖を測定する「GlucoWatch®」を発売したが、商業的に成功せず、市場から姿を消している。

 Lee氏らは、今回、パッチの素材に、導電性が高く、透明性で柔らかく、非常に薄くて軽い性質をもつ「グラフェン」を利用した。また、パッチには、湿度や汗中の血糖値、pH、温度を検出するセンサーのほか、熱感受性の極小針を搭載。汗で血糖値を測定し、さらに血糖値に応じて薬剤を経皮投与する仕組みを開発した。

 汗の量が多い人では、血糖測定の精度に問題が生じる可能性をGuy氏は指摘しているが、「湿度センサーで汗の量を調べるため、こうした人でも血糖の測定値には影響は出ない」と、著者の1人である同大学校のTae Kyu Choi氏は述べている。同様に、汗をほとんどかかない人についても影響は少ないとみている。

 Lee氏らが、健康な男性2人を対象にこのパッチを試したところ、米国の家庭で使われている血糖測定器とほぼ同程度の精確さで血糖値を測定できることがわかった。また、マウスを用いた検討で、搭載した極小針を用いてメトホルミンを6時間にわたって経皮投与したところ、血糖値は400mg/Lから120mg/dLへ低下した。

 なお、インスリンは分子量が大きいため極小針を用いた投与が難しく、また、薬物送達の過程で生じる過熱により損傷を受けやすいことから、このパッチでは用いられていない。Guy氏は、今後、メトホルミン以外の薬剤の送達方法も検討されるものと予測している。

 Lee氏らは、このパッチは1型および2型糖尿病のどちらにも適用できると述べているが、米モンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク市)臨床糖尿病センター長を務めるJoel Zonszein氏は、2型糖尿病患者にはコスト的に現実的ではなく、また、2型糖尿病では1型糖尿病ほど頻繁な血糖測定が必要でない点を指摘し、「将来性はあるが、現時点では克服すべき課題が多い」との見解を示している。

 Lee氏らによると、商品化に向けた次なるステップは、パッチの長期的な安定性と血糖測定センサーの精確さの向上で、その他の課題も克服しつつ、実用化には少なくとも5年は必要との見通しを述べている。

A Wearable Patch Might Help Manage Diabetes Painlessly

[2016年3月21日/HealthDayNews] Copyright© 2016 HealthDay. All rights reserved.

HealthDay
 「世界の糖尿病最前線」では米国で配信されている医療関連情報HealthDay Newsの中から糖尿病に関連したニュース記事を厳選し、日本語に翻訳・要約しお届けします。
HealthDay Newsの詳細へ

■最新ニュース

ニュース一覧へ ▶